アイデアを得る

2017/11/24

日本薬学生連盟ブログ、2回目のテーマは、ずばり「グローバル」。これからの社会で活躍していく皆さんには、どのような企業に就職したとしても、欠かせない視点の一つでしょう。学生のうちにできることの一つとして、海外の文化や人、仕事に触れ、考え、学ぶことはきっと将来の役に立つはず。日本薬学生連盟に所属する2人に経験を語ってもらいました。

SCIENCE SHIFTをご覧の皆さま、こんにちは。第2回の日本薬学生連盟ブログを担当します、東邦大学4年・吉田栄子と、明治薬科大学3年・海野彩夏と申します。

前回の記事では、わたしたち日本薬学生連盟のご紹介と、MRを目指すメンバーがどのような思いを持って活動しているかについて、紹介させていただきました。

今回は、日本薬学生連盟にとって一大イベントの一つ、「IPSF World Congress(国際会議)」についてお伝えしたいと思います。海外の学生と交流する中で気づいたことや、中国の製薬業界についてなど、何か一つでも皆さんのお役に立つことがあればうれしく思います。

 

IPSF World Congress(国際会議)とは?

World Congress(国際会議)とは、簡単に紹介しますと、日本薬学生連盟も加盟している国際薬学生連盟、IPSF*の加盟団体が年1回開催している、世界中の薬学生が集まる大会です。内容や開催地は毎年異なりますが、主に学生の国際協力を推し進め、薬学に対する意識を高めることを目的として、薬学にちなんだワークショップや公衆衛生啓発活動などを約10日間かけて行っています。

*IPSF(International Pharmaceutical Students’ Federation/国際薬学生連盟)とは

世界約80カ国、35万人以上の薬学生が集まる、グローバルな薬学生の組織です。1949年にロンドンで設立され、現在、本部はオランダのハーグにあります。薬学教育や公衆衛生の活動を通し、薬学に対する意識を高めることを目的としています。日本薬学生連盟はIPSFのアジア太平洋地域支部(IPSF-Asia Pacific Regional Office ;IPSF-APRO)の日本支部として位置します。

IPSF World Congress(国際会議)とは

今年夏に開かれた世界会議の目的は、国境を越えた知識のシェアとネットワークを広げること、現代の進歩する薬学を学生のうちから学んでいくことです。参加国は43カ国、10日間にわたり、台湾で行われました。日本人参加者は24名。全国の薬学部1年生から院生2年生まで幅広い学年の薬学生が参加しました。

 

【2017 World Congress(世界会議)in台湾 プログラム】

目的 : 知識のシェア/ネットワークの拡大 / 現代の進歩する薬学についていくこと
参加国 : 43カ国 / 約500名
期間 : 11日間(7/31~8/10)
開催国 : 台湾

プログラム
Day0 : Welcome party
Day1 : 開会式 / Workshop
Day2:Hospital Visiting(病院見学)/ Industry Visiting(企業見学)
Day3 : 小旅行
Day4 : 昼 シンポジウム / 夜 International Night
Day5 : シンポジウム
Day6 : 公衆衛生啓発活動
Day7 : 昼 Workshop / 夜 BBQ
Day8 : 昼 Workshop / 夜 pool party
Day9 : 閉会式 / Galanight

 

海外の薬学生は、なぜ自分の意見を堂々と述べられるか
海外の薬学生は、なぜ自分の意見を堂々と述べられるか

私にとって、国際会議に参加することは今回が初めてでした。この会議を通して、海外の医療情勢、製薬事情、教育などさまざまな知識を学生との交流を通して知ることができ、海外に目を向けるきっかけにもなりました。

しかし、今回大きな気づきとなったのは、海外の学生は「自分の意見をしっかり持ち、発信する能力が備わっている」ということです。さらに自国の医療情勢について大きく関心を持ち、常に自国の医療にどう還元できるかを考える向上心も持ち合わせていました。

例えば、 「薬剤経済学総論」というワークショップに参加した際、周りの海外の学生は経済知識をうまく自分の意見に変換し、薬学業界と結びつけ、どこが問題点なのか、どこを進化させるべきなのかを明確に話します。
正直なところ、大学の講義で既に学んだ教科のため、ある程度自信もあり、復習のつもりで参加したのですが、課題のテーマについて議論する時間では海外の学生に圧倒され、何も言えない自分に悔しさも感じました。
教科書に書かれていることだけがすべてではなく、常に疑問を持って学んでいかなければならない、と痛感しました。

他の場面でも、日本の学生に比べ、海外の学生は自分の意見を恥じらわず、はっきりと主張していました。
日本の研究開発水準、技術、医療制度は世界においてもトップレベルであるので、もっと自国の水準に自信と誇りを持って、積極的に発信していくこともできるはずです。今後社会に出てからも、積極的に国内外に向けて発信することは、海外と連携を図り、日本の医療をより良くするために重要であると考えています。

また、余談ですが、夜に開かれたパーティーに浴衣を着て参加した際、「何でその衣装を着てるの?」「それっていつ着るの?」など、いろいろと聞かれたのですが、曖昧にしか答えられず、もっと日本のことを知っておけばよかったと感じました。薬学・医療などの専門知識だけではなく、自国についての知識の深さも、他国の学生の姿勢に学ぶべきことの一つです。

 

台湾の製薬企業で見つけた、日本の医療技術

台湾の製薬企業で見つけた、日本の医療技術

国際会議2日目に地元台湾の製薬企業を訪れました。規模としては中小企業、アジア圏・アメリカにも進出している会社です。主に見学させていただいたのは、工場です。手順や機械は、日本と大きく異なるところはありませんでした。しかし、南アジア圏の学生やヨーロッパの学生はこの機器類を見て大変驚き、感動していたことが印象的でした。 その理由を後に彼らに聞いてみると、「自国にこのような最先端なロボットはない」、「ロボットが医薬品を製造する場面を見る機会がなかった」などと話してくれました。

工場で説明を受けた際に、「日本からの技術を導入している」というものが多くありました(主に製薬のロボットなど)。台湾でも、日本の産業医療技術が活用され、一人でも多くの患者さんを救っていることに喜びと誇りを感じました。

 

中国・薬学部出身者に聞きました〜中国の製薬業界はどうなっている?

海外の薬学部生の就職事情や、製薬業界はどのようになっているのか? 国際会議に参加して得たつながりを活かして、お隣の国・中国の薬学部出身で、現在日本の製薬企業で働いている方にインタビューしてみました。
まず、中国の薬科大学は日本と異なり、入学当時から薬学部は大まかに3つの学科に分かれています。

  • 中薬学(中国漢方)
  • 臨床薬学
  • 薬剤学

この3つが主な分類としてあり、さらに「中薬専門薬剤師」と「臨床専門薬剤師」とで免許も分かれているそうです。

薬学生の卒業後の進路は、主に大学院進学、研究機構、製薬企業、病院、国家医療保健機構となります。ほとんどの学生は薬学を4~5年学んだ後、院に進学することになります。なぜなら、院卒の学生は学部卒より就業率が高く、また、給料も2倍以上になることが多いため、とのこと。

製薬企業に学部卒で進学する割合は約20%、研究機構に配属されるのも約20%、その他は上記のようにほとんどが進学するそうです。ちなみに製薬企業での役割は日本と大差なく、開発職、営業職、治験職、国際流通職などに分かれています。

インタビューを通して、日本と異なる中国の薬学事情に驚き、大変興味を持ちました。先に述べたように卒業後の進路もそうですが、薬学に対する意識も違っています。

日本はどの分野でも、患者さんに対するおもてなし、ホスピタリティを重視して、思いやりのある薬剤師を育てる教育をしているように思います。それに対して中国は、いかに学生のうちから知識をつけ、将来国のために役に立てるのか、あるいはその知識を有効に使い社会で生き残るのか、競争社会での勝ち抜き方を学んでいるように感じました。

国による文化の違い、意識の違いも多様性の一つです。他国の研究をすることも、今後の国際社会の中で生きていくために重要なのではないかと思います。

 

おわりに

「発信力」と、「自国の探求心」。この2つについて、日本の学生は他国と比べてスキル不足であると、今回の国際会議を通してはっきりと感じました。

国際会議のなかで開催される、各国の代表が参加する会議(General Assembly)では、IPSF全体の運営に関して投票したり、各国の学生が意見を提出したりといったことも経験します。英語力の問題もあるかもしれませんが、そこでは学生同士の白熱した議論が繰り広げられており、自分の意見を主張する方法や、周囲を説得するための技術など、普段から興味を持って学んでいるからこそできるのだと思います。

今回の国際会議は、英語力や個人のスキルなどに関係なく、誰でも興味があれば参加することができます。大学生活の限られた時間を有効に使い、せっかくのチャンスを逃さないために、そして人生経験を増やすために参加しました。学生の今だからこそできることが、まだたくさんある━━。そう考えています。

日本薬学生連盟 国際会議

(文=東邦大学4年・吉田栄子、明治薬科大学3年・海野彩夏)

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【日本薬学生連盟からのお知らせ】

\国際会議の「アジア版」が来年夏、日本にやってきます!/

“APPS 2018 in Japan  =This is a start. ~be a pioneer in pharmacy~= ”

APPS (Asia Pacific Pharmaceutical Symposium)/アジア太平洋薬学生シンポジウムとは、アジア太平洋地域支部の薬学生を対象としたシンポジウムです。毎年200~300人近くの薬学生が集まり、1週間開催されます。そんなアジア会議が、来年8月、なんと日本の富士吉田市にやってきます!

▶開催期間:2018年8月18日~2018年8月24日

たとえば…こんなことを予定しています (仮)

  • Symposium(講義):診療報酬改定、病院/薬局薬剤師 etc.
  • Workshop(分科会):地域包括ケア、災害医療、新薬開発 etc.
  • Field Trip(施設見学):病院、薬局、企業 etc.
  • Campaign(啓発活動)
  • Poster Session(ポスター発表)
  • Welcome Party(歓迎会)
  • Japanese Night(縁日) etc.

開催国が日本ということで、日本の医療についてさまざまな角度から学ぶことができるのもAPPS 2018 in Japanの魅力です。世界に興味がある人はもちろん、卒業する前に日本の医療を広く知ってみたいという人も、ぜひ参加してみませんか?

詳しくはこちら(Facebookページ)

 

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。
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一般社団法人 日本薬学生連盟

WHO(世界保健機関)やFIP(国際薬剤師連合)と正式にパートナーシップを結び、IPSF(国際薬学生連盟)に日本で唯一正式加盟している、“薬学生による薬学生のための団体”。1998年発足、2013年4月に一般社団法人化。「薬学生の専門性及び発展性に寄与する活動を推進し、薬学生の医療に対する意識や能力の向上を図ることにより、日本及び国際社会に貢献すること」を目的として、北は北海道から南は九州まで、全国の薬学生約950名が所属。 HP:http://apsjapan.org/

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