スキルを磨く

2018/03/23

売り手市場でも買い手市場でも、就活に臨む学生が抱える「面接でうまく話せないと内定が出ないのでは……」という悩みは変わりません。志望する企業に対して、自分をうまくプレゼンテーションするためにはどうしたらいいのでしょうか。そして、企業にとっての就活における「自己PR」とはどういう役割を担っているのでしょうか。

そんな疑問に答えてくれたのは、マイクロソフトNo.1のプレゼンターとして国内外で活躍し、また学生の採用面談担当も経験されているマイクロソフトテクノロジーセンターのセンター長である、澤円さん。

グローバル企業の本音はもちろんのこと、数多くのプレゼンテーションの現場で鍛えたプレゼンスキルを応用した新卒就活生向け自己PRのコツについて教えてくれました。

日本マイクロソフトテクノロジーセンター センター長 澤 円(さわ まどか)氏
取材協力:日本マイクロソフトテクノロジーセンター センター長
澤 円(さわ まどか)氏
立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に転職。情報共有系コンサルタントを経てプリセールスSEへ。競合対策専門営業チームマネージャ、クラウドプラットフォーム営業本部本部長などを歴任。2011年7月、マイクロソフトテクノロジーセンター センター長に就任。また、日本マイクロソフトの仕事以外にも、琉球大学の客員教授、ヘルスケアベンチャーであるFiNC顧問、人材系ベンチャーのビズリーチ顧問も務める。著書に「マイクロソフト伝説マネジャーの世界No1プレゼン術」(ダイヤモンド社)など。Twitter:@madoka510

 

企業は学生が語る過去の成功体験を知りたいわけではない!?

企業は学生が語る過去の成功体験を知りたいわけではない!?

━━澤さんは、この秋から冬にかけて学生の採用面談を担当していらしたとか。Twitterでも就活に関して思うところを発信されていましたね。

マイクロソフトは新卒の採用が早く、僕は最終面接官として何人もの優秀な学生と話し、刺激をもらいました。最近はインターンなどの制度も充実し、ある程度の時間をかけて新卒の学生を見極める動きも増えてはいますが、それでも面接による採用への依存度はまだまだ高い状態です。

特に新卒採用面接の場合は数多くの中から選考しなくてはならないので、一人ひとりに割り当てる時間は短くなってしまいます。そこで、どう自分をアピールするべきなのか。就活生にその悩みが常につきまとうのはよくわかります。

今日はマイクロソフトの採用担当者でもある私の視点から、「面接で自分をアピールするには、こうやればいいのではないか」という気づきを共有したいと思います。

アドバイスのほとんどは、「グローバリゼーションが進んでいくなか、勝ち残る企業が新卒の学生を見るときには、どういう視点に立つだろうか?」という切り口です。いわゆる「就活本」に書かれている内容とは、大きく外れる部分もあると思いますが、採用権限を持つ人間の考えなので「リアル」であることには間違いありません。

━━初歩的なところで、面接での自己PRはどんなことを話せばいいんでしょうか。大学時代のサークル活動での経験などをアピールする学生も多いようですが……?

質問に質問で返してしまいますが、例えば、あなたは若者との飲み会で「昔、俺、◯◯だったんだぜ!」と誇るおっさんのことをかっこいいと思います?

思いませんよね。面接官も同じで、学生が大学時代のサークルでどういう経験をし、どんな成功体験を積んだかということを知りたいわけではありません。

じゃあ、サークル活動や学生時代の経験の話をするのがNGかと言えば、そうではありません。フォーカスする場所を変えましょう。成功した話ではなく、どんな失敗をし、どんな痛い目に遭い、そこでどう感じ、いかに立ち直ったか。そのエピソードには興味があります。なぜなら、本人の立ち直る力が見えてくるからです。狭い世界での成功体験なんてすぐに忘れる方がいい。人の成長の阻害要因でしかありませんから。

 

「ふつう」を目指し、「安心」していると置いていかれる

「ふつう」を目指し、「安心」していると置いていかれる

━━実際に学生たちと接していて、伝えたアドバイスはありますか?

僕が最初に「否定した方がいいよ」とアドバイスしているのは、「ふつう」という言葉なんです。「ふつう」とはなにか? と考えると、多くの日本人にとっては「安心」なんですよね。

「ふつう」のゾーンにいることが「安心」。しかし、グローバルな競争が当たり前になってくると、日本の「ふつう」でいること=「いくらでも置き換えのきく人材」ということになります。つまり、「ふつう」に安心を求めていると輝いた人材になれないのです。

━━しかし、企業側が「ふつう」を求めているようにも思えます。

たしかに「ふつう」である人を求めている企業はあります。それは、会社の言うことを聞いてくれて使いやすい人間を採りたいからです。同じクオリティーの仕事をする作業員を求めているとも言えるでしょう。

グローバルな競争の中で勝ち残る企業は「ふつう」の人材を求めません。ゼロをイチにできる人、差を生み出せる人、専門性の高い人、優秀な人を採りたいと真剣に考えています。

人生の中で仕事に費やす時間は膨大です。先輩より早く帰るなといった同調圧力のあるカルチャーを押し付けられながら疲弊するのは、正直、人生の無駄だと思います。そして、「ふつう」を基準に淡々と動く作業員のまま働き続けるのは、なかなかしんどいことです。だからこそ、僕から就活生に伝えたいメッセージがあります。

それは、「あなたは企業を見極めていますか?」という問いかけです。自分が成長できて、それを評価し、活躍することが許可されている企業なのかどうか。しっかり企業研究しながら見極めていってください。

 

学生が持っている最大の武器「時間」を使ったアピールの方法

━━学生側からも企業を見極める、という意味で対等の立場から就活に臨むとしても、やはり自信を持って自分のできることをアピールしなければ採用にはいたらないのではないでしょうか?

それはその通りで、役に立たないとどこも採ってくれません。そこで、学生さんからよく聞かれるのが、「今から大学卒業までの間にどんなことをしたらいいでしょうか?」という質問です。

大学3年の終わりから卒業までの1年。仮に過去3年の間、遊んでいたとしても1年の時間があれば、人はものすごく成長することができます。その時間を武器にして、面接の場で「これとこれをやって自分は即戦力になり、入社します」と具体的なプランをアピールするのも、一つのやり方だと思います。

例えば、企業研究をしておいて、「御社は◯◯というビジネスを展開されています。私は競合であるA社の製品を向こう1年間、徹底的に使い、大学卒業までに競合製品に関するスペシャリストになり、御社に入社したいと思います」と。

あるいは、「御社が事業展開を予定されている途上国に1年間ホームステイし、なぜその地域で同種のサービスが広まっていないのか研究してきます」というのもいいでしょう。どんな企業もこんなことを言ってくる学生のことは気になります。僕が面接官なら、即採用です。

━━時間という武器を使いつつ、学生時代に学んでおくべき知識はありますか?

これからどんな職種を目指すにしても、プログラミングは絶対にやっておいた方がいいとアドバイスしています。プログラムを組んだ経験は、物事がどういう構造で成り立っているかを考える力を養います。

これは自分の頭で考えるという習慣にも直結しますが、「なぜ、こうなっているのか」「何が問題なのか」「解決のために変化させた場合、どういう影響が出るのか」「時間、費用のコストをかけるに値するのか」といった全体の構造を見た上での発想ができるようになります。

 

企業に伝わる自己PRを行うために「自分の棚卸し」を

マイクロソフト 澤円さん

━━これまでのアドバイスを踏まえた上で、効果的な「自己PR」を行うための手順があれば教えてください。

自分についての棚卸しをしていきましょう。

  1. 自分を知ること。
  2. 言語化すること。

例えば、「どんな仕事をしたいのか」「なぜ、そう思ったのか」を考えます。「製薬業界で働きたい」「新薬を開発したい」と思ったなら、その理由を掘り下げます。「身近な人の病気を治したいと本気で願ったことがあるから」という理由がわかったら、紙に書き出しましょう。そのうえで、アウトプットしてコンテンツ化します。

難しく考えることはありません。友達に夢を話すのでもいいですし、FacebookやTwitterで発信するのもいいでしょう。そうやって言語化できると、就活の場においても再現することもできるようになります。そして、再現することができると、共感を得ることができます。

共感してもらうには表現しなくてはいけません。表現するためには、その材料を自分で持っておく必要があります。
つまり、なぜ、自分についての棚卸しをするかと言えば、あなたの想いを人に伝え、共感してもらうためです。

━━最後にこれから就活に臨む学生に改めてメッセージをいただけますか。

優れた経営者は必ず「失敗しろ」と言います。これはリップサービスでも人気取りでもなく、彼らの本心です。なぜなら、失敗っていうのはチャレンジした人にしか訪れない出来事だからです。

就活を終え、全員が華々しい成功を収めることができるかどうかは誰にもわかりません。ただし、必ず全員が成長することはできます。それは本人次第で、昨日より今日、今日より明日、自分は成長すると決めればいいだけです。

今後はキャリアを伸ばすためのハシゴを誰かが示してくれることはありません。でも、目の前のハシゴに登る気があれば、登り始めることはできます。そこで、誰かに引っ張り上げてもらいたいと思う人は、残念ながらこれからどんどん負け組になっていくでしょう。

なぜかと言えば、これまでは同じスタートラインに立って競争することのなかったライバルが日本にやってくるからです。あなたも、多くの日本企業も、グローバリゼーションにさらされます。

生き残るためには目の前にハシゴがあるなら、登りましょう。一番上まで行けるかどうかはわかりません。登ってみて、「このハシゴじゃない」と思うこともあるでしょう。そうしたら、飛び移ればいい。
どんな環境でも、人は「成長しよう!」と思ったら、その瞬間から成長できます。僕はそう信じて今日までやってきました。就活はゴールではありません。いいスタートが切れることを願っています。

 

※本記事は取材により得た情報を基に構成・執筆されたものであり、運営元の意見を代表するものではありません。
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SCIENCE SHIFT編集部

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