未来を考える

2016/12/12

わたしたちが生きていく社会は、当然ながら、変化し続けています。

特に、このサイトを訪れてくれた方、また編集部員も、紛れもなく「未来」を生きる存在で、この先長く、社会と関わり続け、働いていくことになります。

だとすれば、自分たちが活動する社会はこれからどのように変わっていくのか、その理由と背景を知ることは、現在を知ることと同じように重要だと言えます。

中でも高齢化問題は、意識すべきテーマの1つです。すでに現在の日本は、世界保健機構(WHO)により “超” 高齢社会と分類されています。これはほとんどの国が経験したことのない段階で、誰も正しい対策を知りません。今、日本や世界が持つ課題の中で、最も大きなものと言っていいでしょう。

一方で、高齢化、ひいては人口構造の変化は、その他の未来予測とは異なり、大きな誤差なく未来の状態が予期できます。未来の人口構造は、現在の構造をほぼそのままスライドさせたものであり、統計から導き出せるものだからです。「間違いなくそうなる」という意味でも、知っておく価値があるテーマなのではないでしょうか。

また、『もしドラ』でも有名な経営学者のP.F. ドラッカーは、その著書の中で「(人口の変化は)重大な影響をもたらす。市場を変え、経済と社会を変える。変化はすでに起こってしまった」と記しています。

この重大な問題を自分たちの課題として捉え、その中で成長する産業についての理解を深めることは、これからの社会を生きていくうえで、欠かせない要素ではないでしょうか。

そのための第一歩として、「2025年問題」というキーワードを考えてみます。今後の高齢化社会について考え、未来を考えるきっかけにしていただければ幸いです。

 

“2025年” とは何か?

超高齢社会"2025年" とは何か?

まず、「2025年」とは、何を指しているのでしょうか?

これは今後の高齢化社会の動きを把握する上で欠かすことができない、重要な数字です。この成り立ちをひもといてみましょう。

まず、1950年頃に生まれた人を指して、「団塊の世代」と呼ぶことがあります。第二次世界大戦の末期から終結直後、いわゆるベビーブームで、たくさんの子どもが生まれました。そしてこの人たちが75歳になるのが、2025年。つまり、このベビーブームに生まれ、相対的に人口の多い世代が「後期高齢者*」となるのが、2025年なのです。

*日本の法律・法令では、65~74歳までを「高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」と規定しています。

ちなみに、日本において、すでに2015年には、団塊の世代の人たちが高齢者と呼ばれる年齢に差しかかりました。この2015年も、日本の高齢化社会を考える上では、重要なポイントです。2015年までは高齢者人口が増加するスピードが大きな問題とされていました。しかし、2015年以降は高齢者人口の増加は比較的ゆるやかになり、代わって高齢化率の高さが問題となってきたのです。

平成18年に厚生労働省の委員会が発表したデータによれば、2025年には、高齢者人口は約3,500万人となり、高齢者人口の割合が人口全体の約30%に達することが予想されています。やや極端に言えば、これまでがピラミッド型の人口構造だったとすれば、それが逆ピラミッド型、逆三角形になるイメージです。

 

いったい何が “問題” なのか?

超高齢社会、いったい何が "問題" なのか?

続いて「問題」の方について考えてみます。

高齢化社会、超高齢化社会が招く大きな問題の1つとして、介護費用や医療費といった社会保障費の急増があげられます。

1965年ごろには、65歳以上の人が1人に対して、20歳から64歳までの人は9.1人という比率でした。多くの若い世代が1人の高齢者を支えていることから、当時の社会保障の形は「胴上げ型」と呼ばれています。

しかし時代が進むにつれて、高齢者と若い世代の比率は大きく変化しました。2012年には2人から4人の若い世代が1人の高齢者を支える、「騎馬戦型」の社会保障となっています。

この比率は今後もさらに変化する可能性が高く、2050年には1人か2人の若い世代が1人の高齢者を支える「肩車型」の社会保障へ移行すると考えられています。

こうした影響を緩和するための対策として、厚生労働省は医療・介護制度改革に取り組んでいます。

この制度改革では、「医療から介護」「施設から在宅」といった従来とは異なる形で充実したサービスを提供するために、2025年度を目標に地域包括による支援体制の確立を目指しています。しかし、「これで十分、みんなが不安なく暮らせるはず」とは、なかなか思えないのが現実ではないでしょうか。

 

成長が予想される産業とは?

高齢化の進行は、国内の産業にも影響をおよぼします。

高齢化は労働力の減少につながるため、総合的にみれば、国内の産業は衰退する可能性が高いと言えます。しかし、特定の産業に注目すると、今後の成長に期待がもてる分野も存在しているのです。

例えば、高齢化が進むと、高齢者が消費者としての存在感を増していくことになります。元気なお年寄りが増えることで、レジャーや旅行、スポーツを楽しみたいお年寄りの数も増加するでしょう。

また、1人暮らしのお年寄りの増加が予想されます。そのため、家電や住宅、食品といった分野では、1人暮らしに対応した商品やサービスが求められるようになります。こうしたニーズを満たすことによって、それに関わる産業は成長できる可能性が高くなるのです。

さらに直接的に高齢化の影響を受ける医療や介護といった業界は、成長の余地が十分にある分野と言えるでしょう。

あらためて言うまでもなく、高齢化の影響によって医薬品の需要は増加を続けています。さらには、医薬品の営業・販売といった業務を請け負うCSO(Contract Sales Organization・医薬品販売業務受託機関)のような、医療・製薬業界の周辺の産業も急速な成長をとげています。

厚生労働省が進める医療・介護制度改革においても、医療と介護のサービスの強化は重要な要素であると位置付けられており、数兆円の予算引き上げが決定しています。

医療分野では、「救急や手術といった高度な医療が可能な急性期病院の人員の増加」「在宅医療や訪問看護での、1日あたりの対応人数の拡大」が改革の要素として盛り込まれています。

介護分野においても、「介護人材の増加」や「小規模多機能型居住介護の増加」「グループホームの受け入れ人数の拡大」といった点での改正が目標に盛り込まれています。

こうした制度改正も、医療や介護といった分野への需要の増加につながります。

 

まとめ

よく企業の経営者が、「これから伸びる分野で勝負したほうが楽」という言い方をすることがあります。つまり、収縮していく市場で利益を出そうとするより、拡大していく事業環境のほうが経営的にはうまくいく、という経験則でしょう。

そのためには、社会の大きな流れである高齢化の影響を考慮し、今後の動向を分析することも、非常に大切なことです。

一方で、冒頭に書いた通り、社会は変化し続けるものです。未来予想はあくまで「予想」で、絶対はありません。日々、情報に対する感度を高く保ち、学び、また自らさまざまなことを経験し、動き、そして「未来を作り出す」ことが、わたしたちのすべきことと言えるかもしれません。

 

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SCIENCE SHIFT編集部

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