未来を考える

2018/04/02

2019年3月卒の就職活動が始まりました。迫り来る面接に向けて、“魅力的な”自己PRはできましたか?自己PRは、これからしばらく続く(かもしれない)就活の骨組みともいえる、重要なモノ。安易に考えたエピソードでは、ぐらついてしまうかもしれません。そんな自己PRについて、学生がやりがちなマチガイを指摘してくれるのは、就活生への応援メッセージとともに企業視点で就活をズバッと切ってくれるこの方。あなたの自己PR、「すべって」いないか、チェックしてみませんか?

その自己PRは響かない

その自己PRは響かない

「この学生は、自己PRのことをわかっているのだろうか?」

大企業の採用担当者として、毎年数千人の学生と会っていた頃、いつもそんなことを考えていました。たとえ数分とはいえ、企業に自分をアピールする貴重な機会なのに、採用担当者にまるで響かないことを言ってしまう人がいるのです。

具体的には次のようなパターンです。

1.単なる思い出話になっているケース

「学生時代に留学した」
「ヒッチハイクで全国を回った」
「サークルの合宿を成功させた」

いかにも、学生が面接の自己PRのコーナーで伝えることです。別にこれらの話をすることを悪いとは言いません。ただ、これらのアピールをする人の中には「そのエピソードを通じて、何を伝えたいのか」という視点が弱い人が散見されます。単に楽しい思い出話を聞かされているように感じるのです。

2.頑張った人が本人ではないケース

「ゼミで、海外に調査に行きました」
「都心のゴミをひろうボランティア活動に没頭しました」

これもいかにも頑張り屋さん学生が前向きに取り組んだことをアピールしているように聞こえます。しかし、人事にとっては要注意なアピールなのです。お気づきの方もいるかと思いますが、これらは、学生が「主体的」「自発的」に取り組んだかどうかわかりにくいものなのです。よく考えると、スゴイのはゼミの先生であり、ボランティア活動を主宰する方です。よくよく聞くと、人が用意したレールに乗っただけということが明らかになることも。

同様に、要注意なのがアルバイト先でのエピソードです。いかにも自分が主体的に取り組んでいるようで、実はアルバイト先の店長がマニュアルどおりにマネジメントしているだけということがあるのです。よくよく聞くとやらされていただけというのがバレてしまうことがあります。

3.話が総論すぎて、漠然としすぎていて何を言っているのか分からないケース

これは、中身というよりも伝え方の問題です。就活初期段階で多いパターンですね。単に大学名や学部名、所属サークル、アルバイト、趣味などを羅列しただけで、何が言いたいのか全くわからないというものです。もちろん、採用担当者が具体的に質問をして、相手の話を引き出そうとすることもありますが、それを期待してはいけません。これは単に時間の無駄になるケースです。

このように、学生が「よかれ」と思って話している自己PRがすべっているケースはよくあることです。何が問題なのかを考えてみましょう。

 

そもそも採用活動とは何か?

そもそも採用活動とは何か?

効果的な自己PRを行うにはどうすればいいでしょうか? 答えを知りたくてしょうがないかと思いますが、その前に、そもそも企業の採用活動とは何か、自己PRのコーナーで企業が知りたいこととは何かを考えてみましょう。その方が、納得のいく答えにたどりつけるかと思うのです。

採用活動とは企業活動の一部です。企業は永続的な価値の創造と利益の追求を行う集団です。そのために、人材を獲得するのです。企業にとって人材は資源なのです。では、どのような点を見て企業は採用しているのでしょうか。突き詰めると、次の3点です。「できそうか」「伸びそうか」「合いそうか」です。

「そんなことがわかるのか?」と思う人もいることでしょう。特に、新卒採用においては、ほぼ職務経験のない人を採用するのですから。完全にはわかりません。ただ、書類選考や、適性検査、多段階の面接による選抜で求職者のことを理解しようとするのです。

自己PRは学生を理解するための確認事項の一つです。面接の中でも最初に聞くことが多いので、学生を理解する際のきっかけになります。そこで人事が着眼するのは「何」をやったかではありません。人事は、その人の価値観、行動特性、思考回路、倫理観などを読み解こうとします。そのため、自己PRの話から動機や、周りの人とどのように取り組んだか、どのように取り組んだか、どのような成果がでてどう変わったかという一連のプロセスを確認します。前述したような、いかにも楽しい思い出話では響かないですし、そもそもあなたはどう取り組んだのかが問われるのです。

 

自己PRで「〇〇な人は有利」はない

よく就活シーズンになると、「体育会は就活に有利」などという「都市伝説」が学生の間で流行ります。体育会、サークル代表や名門ゼミの所属など、「就活に有利」と学生が思いそうなプロフィールはそれだけで通用するわけではありません。企業が見るのは「何」をやったか「だけ」ではないのです。つまり、体育会、サークル代表、名門ゼミなどのプロフィール情報だけで評価するわけではないということです。

たとえば、体育会はいかにも体力があって、いつも勝負に向き合っていて、上下関係も厳しく、理不尽なことにも強いと思いがちです。ですが、ただ単に好きなことに何も考えずに取り組んでいたり、組織がしっかりしている分、上下関係や理不尽なことを単なる役割行動として取り組んでいたりといった人もいるのです。

サークル代表、なかでも自分でサークルを立ち上げたタイプは一見するとスゴイ人に見えます。ただ、実は自分にとって相性のよい人、言うことを聞く人を周りにかためていて、意外に対人関係が苦手な人がいます。ゼミに関しても、スゴイのはそのゼミの先生と、他の学生であって、単にやらされていた人、ついていくのがやっとだった人というタイプもいます。実は学生時代の私がそうでした。

このように、自己PRは単に取り組んだことやプロフィールを伝えるだけではダメなのです。相手のことを考えないといけないのです。よく就活生向けのエールで「自分を売り込め!」というものがあります。間違ってはいないのですが、「売る」人がいるということは「買う」立場の人がいるわけで、相手のことを理解しなくてはならないのです。

やや回りくどい話になりましたが、この前提を意識しましょう。あなたの今までの自己PRは、すべっていませんでしたか?

 

自己PRを再起動しよう

自己PRを再起動しよう

では、効果的な自己PRのために取り組むべきことを考えてみましょう。次の取り組みをすると良いかと思います。

1.まずは、ネタ探し

自己PRのために、まずはアピールポイントを探しましょう。その際に、オススメの方法があります。それは、ここ数年分の写真をスマートフォンでざっと見てみることです。最近はクラウドの仕組みがあり、自分が持っている写真ファイルを極論、全部手元で見ることができるのです。ざっと見返してみると、なんでもないようでも自分にとって大事なことなどがよみがえってきます。何らかの発見があるはずです。アピールポイントが見つかったら、その頃の写真をもとに書き起こすと、具体的な自己PRにつながります。

2.自分を構造化

写真を見ながら浮かんだキーワードは、大きめのポストイットにメモしましょう。思いついたことを書き出し、グループ化、構造化することにより強い自己PRは生まれます。自分を物語る写真や、キーワードは友人・知人、家族、恋人などにも見てもらいましょう。自分の強みは自分だけではわからないものなのです。

3.自己PRを作成

これらをもとに、自己PRを組み立てていきます。自己PRは自分を雑誌にたとえると、表紙、目次のようなものです。自分が何者なのかが伝わるかどうかにコダワリましょう。

なお、自己PRは一度、汎用的なものをつくっておいて、受ける企業によって使い分けるといいでしょう。その企業の事業内容、組織風土などを考えつつ、いかにもその企業で自分が活躍しているイメージが伝わるようなものにするのです。

単に1分間や、数百字程度の素晴らしい自己PRを組み立てるだけではだめです。必ず質問はされるものですから、その行間を考えておきましょう。前述したような、価値観、思考回路、行動特性などを意識して振り返っておきましょう。

自己PRは就活だけでなく、その後の人生でも必要なものです。ビジネスでは、常に自分が何者かが問われるからです。応援しております。

 

※本記事は取材により得た情報を基に構成・執筆されたものであり、運営元の意見を代表するものではありません。
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常見 陽平(つねみ ようへい)

北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『社畜上等!』(晶文社)『「働き方改革」の不都合な真実』(おおたとしまさ氏との共著 イースト・プレス)『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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