未来を考える

2017/03/02

前回の記事では、納得のいく就活をするための「企業選びの法則」についてお話しました。今回は、2018年度就活を取り巻く社会の状況も踏まえ、チェックすべきポイントを3つお伝えします。「売り手市場」という言葉に浮かれず、堅実な就職活動をしてもらいたいからです。

  1. 売り手市場とは
  2. スマホの活用
  3. 働き方改革

の3つです。順に説明していきます。

 

2018年度就活のポイント1. 売り手市場って?

売り手市場とは イメージ

「採用バブル、なのか?」

就活をめぐって、「今年の就活は楽なの?」というのは、毎年話題となるトピックです。日本では、新卒一括採用という慣行が定着しています。定期的に未経験の若者を組織に迎え入れるわけですが、年度により求人数などが変わるのです。

たしかに求人が異常に多い年というものは存在します。例えば、80年代後半のバブル期はそんな時代でした。遠方の学生が面接に参加する際は、正規料金の交通費が支給されます。面接の日程をまとめ、複数社から交通費をもらい就活成金になった人も。ホテルや旅館に閉じ込めるなど、内定者に辞退されないための「内定拘束」も豪華でした。

00年代半ばも売り手市場の時期がありました。この頃は、東京ドームで合同説明会が何度も開催されていました。一部の企業では、インターンシップで海外に行く、高級ホテルの宴会場で懇親会を催すなどもおこなわれていました。

ここ数年も、売り手市場と言って良い状態です。先日、2017年3月卒の2016年12月1日時点の内定状況が厚生労働省・文部科学省から発表されていました。前年比4.6ポイント上昇の85.0%となり、1997年3月卒より行われているこの調査においても、過去最高の数字でした。

気になる2018年卒は、就職情報会社各社のデータを見ても、売り手市場だと言っていいでしょう。人材の争奪戦になるがゆえに、各社もややフライング気味にセミナーなどを始めています。経団連の「指針」によると選考は6月1日以降に行われる予定ですが、それ以前に内定を出す企業も続出しそうな気配です。

これは短期的に求人状況が好転しているからだけではありません。少子化により、中長期で若年層が減っていきます。言ってみれば、「採用氷河期」がやってきているのです。特に中堅・中小企業、採用困難な業界・職種、地方では、すでにこの波が直撃しており、各社ともに今後の人材獲得をどうするか模索中です。

このように、売り手市場化していること、中長期でも採用氷河期になっていることをまず確認しておきましょう。

 

売り手市場はいいことなのか?

もっとも、売り手市場だから学生にとって都合が良い、というわけではありません。人気企業に入るのは、相変わらず狭き門です。ただ、それだけではなく、売り手市場だからこそ注意しなくてはならないことがあるのです。

人材獲得に困難であるからこそ、学生に対して魅力的な企業であることを、過度にアピールしようとしてしまうのがこの時期の特徴です。もちろん全ての企業ではありませんが、最近は、一部の企業で求人情報を偽ったり、誇張したりする「求人詐欺」も社会問題化しています。採用が困難な企業が、あたかも優良企業であることを装うのです。

企業が学生をちやほやすること、早期で囲い込もうとするがために、ミスマッチも心配です。特に、早めに就職先の企業を決めてしまう学生はその「罠」に陥ってしまうということにもなりかねません。あまり考えを深めないうちに、なんとなく就職してしまうことは早期離職の原因にもなります。就職後に、経済環境が悪化して仕事が辛くなったとき、転職しようにも求人が少ないためそれもままならない。このような状況になって初めて、しっかり考えずに社会に出たことを猛反省する、ということもあり得るわけです。

このように売り手市場だからこそ、注意すべきこともあることを認識しておきましょう。

 

2018年度就活のポイント2. スマホをとことん活用せよ

スマホ活用 イメージ

2つ目のポイントはスマホの活用です。これをとことん活用することによって、効率的に就活をおこなうことができます。

大学の就活対策講座においても、大学生協に並んでいる就活対策本においても、決定的に抜け落ちているポイントがあります。それが、スマホの活用なのです。昔からある対策本などは、内容が更新されていない場合も多く、スマホ時代と大きくズレているのです。スマホをフル活用すると、効率よく、納得のいく内定に至る可能性が高まります。

スマホは、自己分析、自己PRの作成に便利です。今の学生は、大学時代の写真をほぼすべてデータで保存しているかと思います。これらをクラウドサービスのフォルダに入れて、スマホの画面で見ていくと、簡単にこれまでの自分の歩みを振り返ることができます。自己分析の手法でよくある、自分史を書き出す行為にももちろん意味がありますが、このように写真をまとめて見たほうが、忘れていた大事な体験などを思い出すことも簡単です。そして、自分でアピールしたいと思った体験は、その写真を描写することによって、具体的なエピソードや表現を交えた文章を書くことができます。

会社説明会に向かう途中に、企業研究をすることも簡単にできます。その企業の採用情報のページを読むのはもちろんですが、YouTubeでその企業の社長インタビューを探す、新聞のデジタル版で最近のニュースを探すなどするのも効果的です。

スマホはエントリーシートの下書きにも便利です。移動中に片手で入力することができます。クラウドツールを活用すると、仲間同士で添削し合って完成度の高いものに仕上げることも可能です。

いま旬なエントリーシート作成法と言えば、音声入力の活用もあります。最近のスマホは音声入力の精度が上がっているので、これでスラスラと書くことができます。もちろん、入力後はPCなどで推敲が必要ですが、上手くやると一発で完成できるほどです。

もっとも、スマホ入力のスピードは、PCでキーボードを叩くのとあまり変わらないと言われています。同じスマホでも、指でのフリック入力のほうが早いとも言われます。しかし、音声で入力したほうがより気持ちのこもった本音の文章になりやすいのです。さらには、声に出すことで自分の考えもまとまりますし、これ自体が面接の練習にもなります。

さらに、スマホは面接の対策にもピッタリです。スマホのカメラ前に、自撮りして模擬面接をすることができます。友人と模擬面接をし、その様子を撮影するのも効果的です。

まだまだテクニックはありますが、このようにスマホをフル活用することは、納得の内定に至るためのポイントの一つです。

 

2018年度就活のポイント3. 働き方改革と就活

働き方改革 イメージ

3つ目のポイントは「働き方改革」です。政府は国家をあげた「最大のチャレンジ」の一つとして「働き方改革」に取り組んでいます。具体的には、次のような取り組みを検討しています。

  1. 非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)
  2. 賃金の引き上げ
  3. 長時間労働の是正
  4. 転職・再就職支援、副業訓練
  5. テレワークや副業・兼業など柔軟な働き方
  6. 女性・若者が活躍しやすい環境
  7. 高齢者の就業促進
  8. 病気の治療、子育てや介護と仕事の両立
  9. 外国人材の受け入れの問題
※上記は、首相官邸ホームページ「一億総活躍社会の実現」の内容をもとに、まとめたものです。

各社ともにこれに対応したさまざまな施策を打ち出しています。求人広告や、ニュースなどを見つつ、就職先として検討している企業が働き方を変える取り組みを行っているかどうかをチェックしてみると良いでしょう。もっとも、報道だけでは、実際に上手くいくかどうかまでは分かりませんし、あくまで模索中だと思って冷静に見ることをオススメします。この流れの中で、採用ターゲットを広げている企業もあります。チャンスだと捉えて、応募先の一つとして検討しましょう。

  • 売り手市場だからこそ、注意すべきこともある
  • スマホをフル活用しよう
  • 働き方改革に対する企業の取り組みをチェックする

2018年度の就活では、この3点を意識して進めてもらいたいです。2点目のスマホの活用は既に皆さんの方で新たな技を使っているかもしれませんね。1点目の売り手市場化については常に自分でも意識をし、3点目の働き方改革関連に関しては企業をみる際に意識的に調べることにしましょう。

 

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。
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常見 陽平

一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。「働き方」を中心に、執筆、講演、調査活動に没頭中。著書に『「就活」と日本社会』(NHK出版)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)など。

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