スキルを磨く

2017/09/21

最終回は「社会で活躍し続けるための3つのポイント」です。イチロー選手をはじめ、数多くのトップアスリートたちの心理を研究してきた児玉光雄さんによる本連載のフィナーレは、まとめとして、社会に求められる人材で居続けるために必要な、3つの具体策について語っていただきます。

今回は社会に出る前に才能を身につけ、さらに社会に出たときに必要とされ続けるための具体策についてご紹介したいと思います。

 

1.自分の武器は何かを問い続ける

自分の武器は何かを問い続ける

まず、最初の具体策は、「好きで得意なこと」を見つけること。

日本では小さい頃から受験勉強という格闘を強いられてきました。こと入試に限っていえば、ライバルとの熾烈な競争に打ち勝って大学に合格するためには、すべての科目で及第点を取らなければならない現実がありました。例えば、数学も国語も80点の人間の総合点は160点。対して数学は100点だけど国語が50点の人間の総合点は150点なので、大学入試の合格ラインが155点の場合、前者は合格、後者は不合格になります。

しかし、社会に出るとこれは通用しません。どの分野でも及第点を取れる人は、言い換えればどの分野でも中途半端な人材になるリスクが生じます。化学の能力が求められる製薬会社の新製品の研究開発を仕事にしたいなら、化学が100点の人が採用されることは明らかです。入試はともかく、ビジネス社会においては、2番目の才能はまったく評価されません。あなたにとっての最大の武器のみが評価されるのです。

「好きで得意なことを天職に」という言葉は、理想論のようにも聞こえます。確かに、現実はとても厳しいのです。しかし、だからこそ、社会人になる前に、一心不乱にあなたが「好きで得意なこと」に磨きをかけましょう。たっぷり時間をかけましょう。もちろん、徹底して自分の武器や得意技を周囲の人たちにPRしましょう。

それだけでなく、以下のようなことを自問自答する習慣を身につけてください。

  • 自分の武器や得意技に関するニーズは存在するだろうか?
  • 自分の武器や得意技は将来にわたっても社会に貢献できるだろうか?
  • 自分の武器や得意技をなお一層磨き上げる意欲に満ち溢れているだろうか?

普段から好きで得意なことを考える作業を習慣化させましょう。そうすれば、必ずあなたが得意なことを生かせる仕事が見えてくるはずです。

 

2.やり遂げる力を高める

 

やり遂げる力を高める

2番目の具体策は、何かを達成したときに自分にご褒美を与えること。自分にご褒美を与えることはやる気に大きなインパクトを与えてくれます。
もちろん、この記事を読んでいる方は、前向きに学業に取り組み、何かを知ったり発見したりすることや、自分の成長そのものがご褒美、という方も多いでしょう。それはそれで素晴らしいことです。しかし、日々の作業の中には、つらいことややりたくないこと、あるいは自分には難しいと感じてしまうような問題がつきものです。そんな時にも、ご褒美を用意することで、前に進むことができます。

私の場合も、目の前にニンジンをぶら下げて頑張るパワーは侮れません。本の執筆が終えるべき日を決めたら、私はすぐに家内と1泊2日の行きたかった温泉旅館に予約を入れます。その楽しみを脳裏に描くから、つらくても締め切り日までに執筆を完了させようという強い意欲が自然に湧き上がってきます。あるいは、マッサージやお目当てのレストランで食事という自分へのご褒美をうまく設定することにより、私は疲労を感じることなく連続的に5~7時間の執筆も積極的に行えるのです。

そのご褒美は何も洋服を買う、1泊の温泉旅行をするといった形が見えるお金のかかるプレゼントに限りません。小さなことをやり遂げたとき、「大好きなケーキやラーメンを食べる」とか「欲しかった文房具を買う」といった「プチご褒美」が次の何かをやり遂げるためのやる気を高めてくれます。日々の日課が完了したときに、プチご褒美を自分に与えることがあなたの「やり遂げる力」を高めてくれるのです。

 

3.目標を可視化する

目標を可視化する

 

そして3つ目の具体策は、数字の入った目標を紙に書いて行動を起こすということ。

ただ漫然と行動するのではなく、「欲しいものを絶対に手に入れる!」と自分に語りかけることを習慣化させましょう。それだけでなく視覚化のパワーを信じてそれが手に入った歓喜の瞬間を頻繁に脳裏に浮かべる習慣をつけましょう。

このことに関して、あの米国の莫大な資産を築き上げた鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが実践した「欲しいものを手に入れる6つのルール」は、才能を磨いて欲しいものを手に入れるためにはいまだに有効な成功法則です。それらを以下に示します。

  1. 望みのものをはっきり決める
  2. それを手に入れるためにどのような行動を起こすか決める
  3. それを手に入れる期限を決める
  4. それを手に入れる計画を練り、行動を起こす
  5. 前の4つのルールを紙に書き留める
  6. 紙に書いたことを毎日2度、朝起きた時と就寝前に大きな声で読み上げる

この法則を実践して成功した人は枚挙に暇がありません。その代表例は世界20カ国で翻訳され大ベストセラーになった『かもめのジョナサン』(新潮社刊)の作者リチャード・バックです。彼はカーネギーの法則を忠実に実行しました。「私の作品が全世界で認められる日が来るに違いない!」というメッセージを大きく書き出し、それを壁に貼り付け、朝晩2回読み上げました。それだけでなく、世界的な作家になった自分の姿を生き生きと思い描きました。そして、彼は自分の夢を実現したのです。

具体的な数字の入った欲しいものを紙に書いて読み上げる習慣を身につけ、その欲しいものが手に入るまで粘り強く行動を持続させる。この当たり前とも思えることをやっている人はそれほど多くないのです。

 

以上3回にわたり、将来社会人として通用する才能を身につけるための具体策について私なりの考えを述べてきました。改めてまとめれば、以下のようになります。

一流選手の姿勢

  1. ポジティブ思考を貫く
  2. 壮大な夢を描く
  3. 逆境をバネにする
  4. 努力というより、「才能を磨き続ける」

学び続けるために重要なポイント

  1. 「初頭効果」と「終末効果」を使い、効果的に学習する
  2. すきま時間を徹底して活用する
  3. 粘り強く「分散学習」をする
  4. 人間の脳にとって最適なのは「画像学習」

▼才能を磨き、社会から必要とされる人でいる

  1. 自分の武器は何かを問う
  2. やり遂げる力を高める
  3. 目標を可視化する

いずれも、私がこれまで一流スポーツ選手と共に時間を過ごしてきた中で、重要だと考えたことです。
ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。

前の記事はこちら:
学び続けるための技術、4つの最重要ポイントとは

製薬業界をもっと知りたい!製薬業界・入門編
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児玉 光雄

1947年兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業。スポーツ心理学者。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。学生時代テニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院に学び工学修士号を取得。 米国オリンピック委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。過去20年以上にわたり臨床スポーツ心理学者としてプロスポーツ選手のメンタルカウンセラーを務める。また、日本でも数少ないプロスポーツ選手・スポーツ指導者のコメント心理分析のエキスパートとして知られる。著書にベストセラーになった『イチロー思考』ほか、150冊以上。

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