スキルを磨く

2017/06/01

大学生、社会人、何歳になっても「学び、成果を出すこと」は変わることなく重要なもの。しかし、学校で「勉強」は教わるものの、「学び方」を教わる機会は滅多にありません。もし、「学び方」次第でその成果が何倍にも変わってくるとしたら……。

今回、米国オリンピック委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事し、過去20年以上にわたりプロスポーツ選手のメンタルカウンセラーを務めた児玉光雄さんに、「学ぶ技術」について教えてもらいます。まずは、3人の一流スポーツ選手に見る、学び続けることの大切さについて。

皆さん、こんにちは。追手門学院大学の児玉光雄です。皆さんは近い将来社会人になられると思いますが、社会に出たら、自分の頭で考え、計画を練り、そしてその計画を行動に移す能力が問われます。そして、もちろん理屈抜きに与えられた仕事で成果を出すことが求められます。そこで、今回から数回にわたり皆さんに「学習する技術」をテーマに、その秘訣についてお話ししたいと思います。
今回は日本を代表する一流のスポーツ選手に学ぶ自発的に学び続ける技術についてお話しします。私の専門分野はスポーツ心理学です。過去20年以上にわたり、日本を代表するトップアスリートの心理・行動パターンを分析してきましたが、彼らの飽くなき向上心は私たちに学び続けることの大切さをわかりやすく教えてくれます。

ポジティブ思考を貫く──イチロー選手

まず、最初のキーワードは「ポジティブ志向」です。この言葉ですぐに頭に浮かんでくるのはイチロー選手でしょう。彼ほど徹底したポジティブ志向を貫いているアスリートを探すのはとても難しいのです。あるとき、彼はこう語っています。

「『これでいい』と思っていたものが、『いい』と思えなくなってくる。それで、今度は『もっと、いい』ものをまた探し求めなくてはならない。この繰り返しなんですよね。でも、探し求めるということが面白い。これが野球を続けられるモチベーションなんですよね」

彼は「自分のバッティング技術はまだまだ成長させることができる」という究極のポジティブ志向を貫いているから、43歳になった現在もいまだにメジャーリーガーとして活躍できるのです。つまり、一切の妥協を許さず日々厳しい鍛練を積み重ねて貪欲に学び続ける姿勢がイチロー選手を超一流のメジャーリーガーに仕立てたと、私は考えています。

 

壮大な夢を描く──錦織圭選手

錦織圭

2人目のアスリートはテニスの檜舞台で大活躍している錦織圭選手です。私は一握りのチャンピオンやトップアスリートを「オーバーアチーバー(異常なほど達成意欲の強い人間)」という別名で呼んでいます。彼らは異常なほど自分の定めた目標を達成する意欲が強いのです。

錦織選手は、壮大な夢とワクワクするような夢を描き、日々コートの上で学び続ける姿勢を崩さなかったから一流のプロテニスプレーヤーになったのです。彼が小さい頃から最も憧れていたプレーヤーは、世界ナンバー1プレーヤーとして君臨したロジャー・フェデラー選手でした。錦織選手は、「いつかフェデラー選手のような世界一のテニスプレーヤーになる!」という夢を描いてその夢を実現することに命を懸けたから、厳しい練習を積み重ねることができたと、私は思うのです。

「描いた夢や目標の大きさがその人間の成果を決める」と私は考えています。つまり、描いた夢以上のことを実現することは不可能なのです。あなたも錦織選手のような壮大な夢を描いてその夢の実現のために学び続ける姿勢を貫いてください。そうすれば必ず夢は叶います。

 

逆境をバネにする──大谷翔平選手

3人目のアスリートは大谷翔平選手です。大谷選手は、プロ野球史上でも類を見ない、投手と野手を両立する「二刀流」選手で、球速165キロを投じる日本のプロ野球最速投手でもあります。

大谷翔平 野球

2014年シーズン、大谷選手は史上初となる2桁勝利と2桁本塁打(11勝、10本塁打)を達成しました。そして2016年には、自身2度目の2桁勝利と2桁本塁打に加え、100安打も達成し、投打ともに日本ハムファイターズの主力選手としてリーグ優勝と日本一に大きく貢献したのです。

しかし今シーズンのはじめ、彼の身の上に不運なことが起こります。4月8日の対オリックス戦の初回、三塁ゴロを打って一塁ベースを駆け抜けた後、大谷選手は顔をしかめます。試合後の検査の結果「左大腿二頭筋の肉離れ」と診断され、戦線離脱を余儀なくされます。 実は、高校2年の夏にも彼は股関節を痛めて半年ほとんど練習ができない時期がありました。それが結果的に二刀流の道を拓いてくれたのです。そのことを思い出したようにして大谷選手はこう語っています。

「ケガがあってピッチャーができない時期のほうが長かった。だから高校時代はバッティング練習をたくさんやりました。試合では3番とか4番を打たせてもらっていると、バッターとしての自分がどんどん良くなっていくのを感じました」

このように、大谷選手はたとえ逆境に見舞われても、落ち込むどころか、逆境をバネにして学び続けたから飛躍できたのです。つまり、逆境を克服することを快感にすることができてこそ、一人前なのです。皆さんも将来社会人になったら、想像できないような逆境に見舞われることがあるかもしれませんが、そんな時でも落ち込むのではなく、「これが飛躍のチャンスになる!」と考えてください。

 

社会人として、才能を磨こう

私は「努力」という言葉があまり好きではありません。なぜならこの言葉には「やらされ感」が漂っているからです。私は「才能を磨く」という言葉が大好きです。自分を成長させたり、自分が定めた目標を達成することに貪欲になってください。もちろん逆境に見舞われても挫けずにベストを尽くしましょう。そういう意識を持ち続けることにより、自発的に学ぶための行動を起こすことができるようになります。

もしも、すでにあなたが製薬業界に就職するという明確な目標があるなら、この3人の日本を代表する一流のアスリートのように、一貫して学習を通して自分の才能を磨くことに努めてください。そうすることにより、あなたは着実に進化という宝物を手に入れることができるのです。

次回は、学び続ける技術を鍛えるためのトレーニングについて。私自身の経験も踏まえて、その方法をお伝えしたいと思います。

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。

 
次の記事はこちら:
学び続けるための技術、4つの最重要ポイントとは

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児玉 光雄

1947年兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業。スポーツ心理学者。追手門学院大学客員教授。前鹿屋体育大学教授。学生時代テニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院に学び工学修士号を取得。 米国オリンピック委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事。過去20年以上にわたり臨床スポーツ心理学者としてプロスポーツ選手のメンタルカウンセラーを務める。また、日本でも数少ないプロスポーツ選手・スポーツ指導者のコメント心理分析のエキスパートとして知られる。著書にベストセラーになった『イチロー思考』ほか、150冊以上。

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