スキルを磨く

2020/07/28

学生生活や仕事を改善しよう、もっと充実させたいと思った時、どんな手段があるでしょうか?

本を読む、先輩や先生にたずねる、今ならやさしく解説してくれるYouTube動画を探す……等々、いろいろありますね。

中でも、編集部が大事にしたい要素のひとつが、「習慣化」です。なにかを本で学んだとしても、それを普段通りの気持ちで使えなければ、本当に身についた、本当に学んだとは言えませんよね。

そこで今回は、長年習慣化というテーマに取り組み、多くの人にコンサルティングを行う、古川武士さんにご寄稿いただきました。どんなに良い行動でも、習慣にならないというのは、誰もが抱えるお悩みだと思います。ぜひ解決のヒントをつかんでください。

ある調査で、好きなことわざを調査したところ第一位は「継続は力なり」。そのほか上位ランキングに「石の上にも三年」も入っていました。(出典:ソーシャルことわざ.com

続けることが、私たちを健康に導き、仕事でも成果を高め、豊かに生きるポイントとなることは誰もが同意されることではないでしょうか。しかし……、続けることは、難しい。

今回の連載では、そんな「習慣化」について、3回に分けて書きたいと思います。

 

私たちの45%は習慣で出来ている?

早起き、ダイエット、片づけ、勉強、禁煙……、多くの人は、習慣化と言えば、「続かない」「やめられない」と苦手意識を持っています。

しかし、私たちの脳の本能には習慣化する機能があり、続けることは自然なことなのです。逆に、不自然に習慣化しようとするからうまくいきません。

デューク大学のある研究では、人間の行動の45%は習慣でできている、という結果でした(※1)。言いかえれば、私たちの脳には「習慣化機能」があり、いつも通りのパターンを繰り返すようにできています。

(※1:David T. Neal, Wendy Wood, and Deffrey M. Quinn, 2006,Habits—A Repeat Performance)

その証拠に、あなたの行動も、朝起きて寝るまでの間の行動パターンは人によって異なるものの、ある程度パターン化され、同じことを繰り返しているのではないでしょうか?

たとえば、通勤ルートは、大抵の人が決まっているのではないでしょうか。そのほかにも、朝の過ごし方、家を出る時間、電車に乗る時間、会社に着く時間、最初に行なうメールチェック、昼食のお店のパターン、帰りに寄るコンビニ、家に帰ってテレビを見て、風呂に入ってスマホを見て寝る……、というような行動パターンは、ほぼ意識しておらず、無意識化されている行動です。まるでロボットのように同じ行動を繰り返します。

習慣化は、脳の無意識領域に行動や思考を覚えさせることで「いつも通り」のパターンを自動化させるプロセスです。私たちが1日に意識で処理できることは、限られています。だから、無意識的に習慣化して理性的に考えなくてもいいように、習慣化するのです。

 

悪い習慣がもたらす習慣の割れ窓理論

見方を変えると、暴飲暴食、夜更かし、怠惰な生活、イライラ……、悪い習慣ほどすぐに身につき、生活を乱して行く、ということも言えます。

たった1日の問題であれば大したことではありませんが、それが積もり積もっていくとやがて健康が損なわれたり、人間関係が破綻したり、慢性的なストレスや充足感のなさにつながっていきます。

ここでは、有名な「割れ窓理論」をもとに、小さな乱れを正すと、大きな乱れをなくせることをご説明します。

 

習慣の割れ窓理論

割れ窓理論(Broken Windows Theory)とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したものです。軽犯罪を徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論となります。

実際、1980年代、ニューヨークはアメリカでも有数の凶悪犯罪が発生する都市で、治安悪化が課題でした。1994年、ルドルフ・ジュリアーニ氏が市長になって、治安改善を行ったのですが、この時に採用されたのが割れ窓理論です。

警察職員を5,000人増員して街頭パトロールを強化し、小さな軽犯罪を取り締まりました。落書き、騒音、無賃乗車、違法駐車、交通違反、飲酒運転、万引きなどを徹底的に取り締まったのです。

これらの軽犯罪を取り締まることで、なんと、5年間で殺人が67.5%、強盗が54.2%、婦女暴行が27.4%減少し、治安が回復しました。

些細な軽犯罪が凶悪犯罪にドミノ倒しのようにつながっていく。昔から「嘘つきは泥棒のはじまり」と言いますが、小さな嘘をつかないように教育することが重要であることは頷けることだと思います。

さて、長々とこの説明をしたのは、私たちの習慣にも全く同じことが言えるからです。

 

小さな習慣の大きな効果

繊細なかたは、部屋が雑然としているだけでも、集中力が削がれてしまいます。たとえそれほど敏感でなくとも、小さな不具合は、だれにでも悪影響を及ぼします。

健康に悪いものばかりを食べている、ストレスからつい飲み過ぎてしまう、ネットサーフィンをしすぎて寝るのが遅くなる、結果的にいつも慢性的な寝不足になって体がつらい、さらにそれらが仕事の集中力を奪っていて残業につながり、夜更かし、ストレス、飲み過ぎ、イライラ……とループします。ニューヨークの治安と同じメカニズムで、乱れはどんどん大きな乱れにつながっていきます。

私たちは習慣の生き物です。先に40%という調査結果を紹介しましたが、実のところ8割は習慣的に繰り返していることばかりだと考えています。習慣を変えることは人生を生きるうえで重要なキーワードとなる、というのが現実的な考え方ではないでしょうか。

しかし、一方で、いきなり飲み過ぎを改善しよう、ネットサーフィンをやめようと言われても、これらの乱れは正しにくいものでもあります。

そこで、習慣にも割れ窓理論を採用してみましょう。小さな乱れから正していくのです。

一番手軽な方法は、5分の片づけです。たった5分でいいので、出したものを元に戻したり、ゴミを捨てたり、服をハンガーにかけたり、書類を捨てたりという時間をとってみてください。

これを私が主催する習慣化の学校で行うと、いつも効果てきめんです。「気持ちがスッキリした」「先延ばし感が減った」「心にゆとりができた」「気分がよくなる」「快適になった」「オフィスが機能的になった」「考えも整理されるようになった」「判断が早くなった」「集中力が高まった」「家族も片づけるようになった」「出したら片づけるようになった」「だらしない自分への自己嫌悪が減った」という声が上がってきます。

小さな環境の乱れを正すことで、心理に影響が出て、さらには行動にも影響していきます。

 

良い習慣がもたらす2つのパワー

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「人は習慣によってつくられる。優れた結果は、一時的な行動ではなく習慣から生まれる」という言葉を残しています。良い習慣は良い循環を作り出し、悪い習慣は悪い循環を作り出します。

ビジネスにおいて優れた結果を出す人は、多くの良い習慣を身につけている人です。良い習慣が増えると仕事に限らず、人間関係が良くなる、健康になる、美・若さを保てる、経済的に豊かになる、社会に貢献できるなど幅広い結果を手に入れることができます。 

それでは何故、習慣化によって優れた結果を生み出すことができるのでしょうか? 習慣化が持つ2つの偉大なパワーをご紹介します。

 

◆習慣化のパワー1 複利成長を生み出す

読書を例にとりましょう。もしもあなたが専門分野(営業、マーケティング・経理など)に絞って毎日30分本を読むとすると1か月で5冊、3年で180冊の読書量になります(仮に3時間で1冊読むとした場合)。

そして読書で得た知識やスキルを活かし、日々の業務改善・価値創造の行動を積み重ねれば、生産性は高まり昇進・昇格も早まることでしょう。

また、毎日笑顔を習慣にしている人は、相手に好印象を与え続けることができ、人間関係が円滑になります。そして人間関係が良くなれば人脈が増え、仕事の結果につながります。

 

◆習慣化のパワー2 自己評価を引き上げる

自分で決めた行動を継続できると、自己評価は高まります。つまり自分に自信が湧いてくるということです。なぜ自己評価が高まるのか? それは「自分との約束」が守れているからです。一方、自分で決めた行動が続かないと、自分を責め続け、徐々に自己評価は下がっていきます。

自己評価が高い人は自信に溢れていて、前向きな思考で仕事に臨めます。それが優れた結果につながり、周囲からの評価も高まります。

今回の記事では、こんなことを述べました。

  1. 人は習慣でできている
  2. 習慣は、生活を良くも悪くもする「ループ」
  3. 小さな習慣的行動が重要
  4. 良い習慣が身に付けられれば、複利効果が働く(長い目で見ると大きい)

次回から具体的な部分、なぜ習慣化が難しいのか、どうすれば続けられるのかをご紹介していくことにしましょう。

シリーズ:習慣化コンサルタントに学ぶ、理想の人生の作り方
第1回 なぜ、習慣化が人生に必要か?(本記事)
第2回 続ける習慣、7つの極意
第3回 自分をうまく乗せる・続けるモチベーション12のスイッチ

 

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。

 

新規CTA
タグ一覧 新時代を生きる
記事一覧へ
古川武士

習慣化コンサルティング株式会社代表取締役。米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー。約5万人のビジネスパーソンの育成と10,000人以上の個人コンサルティングの経験から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。著書は現在21冊、95万部を超え、中国・韓国・台湾・ベトナムなど海外でも広く翻訳され読まれている。

関連記事