未来を考える

2019/02/26

文系職種への理系出身者のニーズが年々高まっていることをご存知ですか?業務の複雑化が進み、多くの仕事で統計や分析スキルが必要になるケースが多くなってきたためで、理系出身者がメーカーの営業、企画、マーケティングなどの職種に就くケースが増えているからです。もちろん、理系就職ならではの技術職や研究職に就きたいという理系学生はたくさんいます。しかし、理系だからといって、そういった職種に限定してしまう必要はありません。

ここでは理系から文系就職するメリットや注意点、就職活動のコツをご紹介します。

 

ニーズが高まる、理系学生の文系就職

製品の高度化やあらゆる業種でのIT化が進んだために技術営業や企画専門職といった職種のニーズがあらゆる業界で高まっているのが現状です。さらに文系の代表格と言われているような職種にもたくさんの理系出身者が就いている例はたくさんあります。こうした人に共通するのは、文系就職という畑違いの職種で苦労しているというものではく、むしろ、理系であることのメリットを活かして活躍している人が多いということです。法務部で契約や特許などを担当したり、総務部でシステム管理を行ったり、広告制作などのクリエイティブ職、経営コンサルタントなどにも、理系出身者が進出しています。

 

理系学生が文系就職をするメリット

理系学生が業界で重宝される理由は、こんなケースに現れます。

例えば、メーカーの営業職は取引先から商品の技術や仕様について詳細に聞かれることもあります。理系学生が自身の学んできたことに関係する製品を取り扱うメーカーに営業職として就職した場合、その製品についての理論的な構造の予備知識があれば、しっかり理解することができ、そのうえで売り込みをすることができます。これは営業職として非常に大きな武器になります。一方、予備知識がない文系学部出身者が自信を持って話せるようになるにはそれなりの時間を要します。あらかじめ知識や理論的な構造をしっかり理解した理系出身者は企業にとって、頼もしい存在となるでしょう。

実際、開発を経験していた人が、エンジニアリング営業と呼ばれる技術営業職に転職したりするケースも多々あり、またシンクタンクなどで市場分析をする研究職もすべて理系出身者でまかなわれていることが多いようです。このように、営業職やマーケティング職は必ずしも文系職とは言えず、その科学的な知識を活用できる理系学生は、文系就職でも有利に就職活動を進めることが出来ます。

 

理系学生が文系就職をするデメリット

理系学部の学生が文系職種で就職活動をしても、基本的には不利になることはありません。ただし、文系就職はそのほとんどが文系学部のスケジュールを前提に組まれているため、授業や研究、レポート作成に忙しい理系学生は、学業との両立にデメリットを感じることもあります。

選考ステップにも違いがあります。文系職種の場合1~3次選考だけでなく、4~5次選考まで設けられているケースが多く、1社あたりの拘束期間が長くなります。そうした中で理系学生が文系の就活スケジュールに合わせると、その拘束期間の長さから卒論や大切な研究と重複し、非常に忙しくなってしまいます。そうなると準備にかけられる時間や体力面で、文系学生に遅れを取ってしまう可能性があるのです。

また、理系学部なのに文系就職をするということは決して多数派ではありません。そのため「同じ状況の仲間が少ない」ということもあります。就活は情報戦。そもそもどんな企業があるか、筆記試験の内容、面接の内容など、どれだけ多くのことを知っているかが準備・対策の質に繋がり、それが内定の確率を上げることに繋がります。そのため同じ境遇の友人をつくったり、部活動やサークル活動で他学部の友人からの積極的に情報交換をしたり、選考で知り合った学生と連絡先を交換し、情報が集まる環境づくりを行うことが重要です。

 

理系と相性のいい文系職

先ほどでは営業職も理系学部の出身が有利と述べましたが、その他の職種で理系学部出身であることが有利に働く業界や職種はいったいどんなものがあるのでしょう。

 

金融業界

金融業界には銀行・証券・保険といった種類がありますが、これら全てにおいて理系の特徴を活かすことができます。ビッグデータを活用した金融商品企画では、理系出身者が貴重な戦力です。また、顧客の取引履歴などの膨大なデータを元に新たな施策や企画を創出していくには、ITとの連携が欠かせません。また、最近の法人営業では、顧客企業の財務分析が重視されるため、数字に強いことを活かして活躍することができるなど運用部門のファンドマネージャーなどに理系出身者もいます。これらに共通して求められるのは理系学生特有の数理能力です。統計学の知識がある人や、研究の中で何らかのデータ収集・分析経験のある理系学部出身者は高く評価されるのです。

 

メーカー(技術営業)

メーカーや技術系商社、IT企業・システムインテグレーター、ゼネコンやエンジニアリング企業などは、理系学部出身者を営業・企画職として積極的に採用している業種です。いずれも専門知識を活かして深い商談ができ、製品の引き渡しまでの顧客とのやりとりをスムーズにできることが評価されています。通常の営業では、ある製品やサービスを顧客に対し、そのままの形で売り込むといったケースが多いですが、技術営業ではそれに加えて、顧客の悩みに対して自社の技術を組み合わせ、解決策を提示したり、顧客が潜在的に抱えている問題に対してアドバイスをしたりする活動を行えます。このように、技術営業では、ある決まった製品を提供するだけでなく、それぞれの顧客に合わせたオリジナルの製品やサービスを提供する仕事をすることができます。

 

コンサルタント

コンサルタント会社やシンクタンクでは顧客の課題解決を行う際に、課題の整理、分析を行い、本質的な問題を探り当て、解決策を考えるというプロセスで仕事を行います。このプロセスの中で、理系学部出身者が実験や研究で得られた分析力、そこから明らかになったことから結論を導きだし相手を説得するための論理的説明力が発揮されることが多くあります。このように理系の研究とコンサルタントの仕事のプロセスは似ており、理系学生にとってコンサルタントの仕事は合っていることが多いです。経営に関する知識がなくても不利になることはありません。コンサルティング業務に必要な基本的な素質は「思考力」であり、課題に対する解決策を考えることができるスキルです。膨大な文献を読みこなせる読書・読解能力や、知的好奇心・学習意欲、など、理系学生に活躍するのにうってつけの業界と言えるでしょう。あとは顧客との関係性をスムーズに構築できる人間力、頭脳を酷使する型のハードワークに耐える忍耐力、体力が必要な資質となります。

 

MR

MRとは医薬情報担当者のことで、医療機関を訪問し、医師や薬剤師に情報提供をする仕事で、単純に言うと製薬会社の営業職です。自社製品や疾患、治療法の情報を提供する仕事ですので、もちろん専門性が求められます。高い知識と倫理観が求められる、情報提供のプロフェッショナルとなる必要があります。医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行い、自社の医薬品・医療機器の効能・特質・投与や使用法に関する情報を、ドクターや医療スタッフに伝えます。取り扱っている医薬品は、日々新しいものが開発・販売され、MRになったからには常に薬に関する勉強が必要となり、知識を磨くために奮闘することになります。一般的にMRは文系出身者が多いと思われますが、薬剤師(薬学部出身)をはじめとして生物系、化学系出身等の理系も少なくはありません。

 

クリエイティブ職

意外に思うかもしれませんが、広告代理店やIT系制作会社、ゲーム会社などで営業・企画職に就く理系学部出身者も多くいます。感性一辺倒ではなく論理的な分析が得意であることが評価されています。

 

まとめ

理系学生は学業の上で必ず理論的な思考法を基本にします。また研究では順を追ってステップを踏んでいく段取りが必要になります。こうした理系学生特有の「論理的思考力」「数理能力」「データ分析・解析力」などの実践的な基礎的学力は、企業が目標達成のために必要なことで、就職活動をするうえでも強みとなります。そしてこの強みを活かせば、文系就職でも活躍できる業界や職種が数多くあり、大いに力を発揮することが出来るのです。

理系は理系の職種と選択肢を狭めるのでなく、本当に自分がやりたいことを見つめなおし、悔いのない就職活動を進めてください。

 

関連記事

「理系就職」の成功ガイド
将来、研究職に就きたい人が、今やるべきこと
理系の職種を大研究。あなたの本当の適職とは?

組織論のプロに聞いた、「働く」のいちばん大事なところ
タグ一覧 就活
記事一覧へ
SCIENCE SHIFT編集部

当メディアの編集部員です。学生の皆さんに今お届けすべき話題は何か?を日々考え、より良い情報を発信していきたいと思います。

関連記事