製薬業界を知る

2019/03/29

「医療業界」と言うと、みなさんはどんな職業を思い浮かべるでしょうか。「医師? でも医学部じゃないし・・・」。もちろん「医療業界」最大の花形は医師でしょう。しかし医師だけが医療業界を支えているわけでもありません。そこで今回は、医療業界を支える、数々の職業について説明していきたいと思います。実に挑戦し甲斐のある業界なのです。

 

病院を取り巻く職業

医療業界と言えば、まず思い出すのは病院。誰もがお世話になっている施設ですし、非常に馴染みのあるところではないでしょうか。ただ、人命にかかわる機関であるだけに、そこで働く人々には高いモラルと技術が要求されます。病院の中での仕事で、医師以外に国家資格が必要とされるものは挙げてみると以下になります。

薬剤師・看護師・助産師・保健師・管理栄養士・社会福祉士・精神保健福祉士・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士・歯科衛生士・理学療法士・作業療法士・義肢装具士・歯科技工士・救急救命士・言語聴覚士・視能訓練士

上記をその役割ごとに大きく分類すると、以下のように分類されます。

(1)病人やケガ人、妊婦に対し医師とともに治療を担当
看護師、助産師、保健師、歯科衛生士、救急救命士

(2)患者に医薬品を提供する
薬剤師

(3)カウンセリング、相談などで患者と向き合う
社会福祉士、精神保健福祉士

(4)リハビリテーション等で患者の機能回復に努める
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士

(5)医療に使用する機器の操作、検査、保守点検を行う
臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士

(6)患者が治療、機能回復のため使用する装具を製作する
義肢装具士、歯科技工士

(7)患者の健全な食生活を支える
管理栄養士

(1)の医療行為を行う職業では、高い医学的知識、技術はもちろんですが、患者、特に高齢者に対してじっくり長い期間をかけて寄り添う気持ちが必要となります。

 

(2)の薬剤師は、薬物療法の担い手として医師と協力しながら、患者に対し薬の調合や処方を行っています。ただ薬剤師の場合、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社・企業と病院以外での就職先もあるのですが、薬剤師自体は年々増えているため飽和状態になっているとされています。

厚生労働省「2016年求人倍率データ」

 

(5)のカテゴリーの仕事では、診療、検査に使用する機器の高度な使用技術が求められます。たとえば人工心肺装置や人工透析装置は、そのまま人命に直結する装置だけに、施術中の操作はもちろん、日頃の保守点検が欠かせません。医療機器のメーカーのクリニカルスペシャリストやサービスエンジニア(後述)と連携し、技術の習得に努めるとともにメンテナンスも充分に行う必要があります。どちらにせよ、非常に高いモラルとモチベーションが求められる職業だと言えるでしょう。

病院では、高齢化社会の進行に対応し、介護福祉施設との機能再編なども加速しています。医療業界での職業として、介護福祉の職業にも注目が必要です。

 

介護福祉を取り巻く職業

介護の仕事も資格の必要なものが多いですが、ざっと分類すると以下になります。

(1)利用者に対して実際に介護を行う
介護福祉士、ホームヘルパー、ケアワーカー、ソーシャルワーカー、ケアスタッフ、介護職員、介助員

(2)利用者と施設、病院などの間に立ちケアプランを策定する
ケアマネージャー

(3)利用者や家族の相談を受け施設、病院と調整を図る
生活相談員

特に(1)のヘルパーやワーカーの分類が難しいのではないでしょうか。(1)の中で資格が必要なのが介護福祉士となります。ヘルパーケアワーカーは資格がなくてもなれますが、訪問して身体介護を行うホームヘルパーは厚生労働省の研修に参加し、認定を受ける必要があります。ケアワーカーは主に高齢者、障がい者の介護を行うのに対し、ソーシャルワーカーは高齢者、障がい者に加え病気やケガをしている人、さらにその家族に対して支援、相談業務を行いますが、社会福祉士や社会福祉主事の資格が必要な場合もあります。

 

介護福祉士の資格を取るには、さまざまなルートがあります

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

 

製薬業界を取り巻く職業

製薬は人々の生命や健康を左右する、重大な責務を負っています。仕事の種類を大きく分けると以下に分けられます。

(1)医薬品の研究・開発・製造に関わる仕事
研究、開発、生産

 

(2)医療機関への営業、アフターフォロー
マーケティング、MR、PMS

製薬業界には、実に様々な職種のたちが多数仕事に従事しています。そのひとつひとつをご紹介していきましょう。

●研究(分析・工業化・製剤技術・製薬技術)
薬が作用するメカニズムの解析や、製剤にする際の基礎研究、さらには安全性や有効性についての実験等を行います。

●開発(医薬品開発・製剤設計)
研究セクションで解明されたデータから、実際に医薬品を開発します。

●生産(工務管理・品質管理)
生産工程での工務の管理や品質のチェックなど、厳しい試験業務を行っています。

●マーケティング
製品の販売戦略全般を司るダウンストリーム系と、企業や事業そのものの広報を担当するマーケティングコミュニケーション系に分かれます。自社ブランドのイメージアップ、市場に投入された医薬品の広告など担当。

●MR(medical representative)
日本語では「医薬情報担当者」と訳されます。病院や医院など医療機関に赴き、自社の医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報を提供。さらに医療の現場での声を集め、医薬品開発に役立てるなどの業務を行います。

●PMS(製造販売後調査)
発売した後、医療機関で診療に使った際の有効性・安全性を確認するとともに、適正使用についての情報を収集し、次の研究・開発にフィードバックします。

 

製薬会社のアウトソーシング先

ここ最近、「治験」など従来、製薬会社内で行っていた業務を、外部にアウトソーシングするケースが増えています。そのような製薬会社の治験をサポートする専門企業を「CRO(開発業務受託機関)」、「SMO(治験施設支援機関)」です。そんな機関での職業を紹介します。

●CRA(臨床開発モニター)
CROで治験のモニタリングを行う担当者のこと。治験の企画、進行状況の調査委と確認を行い、集まったデータを集計・解析。厚労省への承認申請資料作成から市販後のフォロー調査まで担当します。

●CRC(治験コーディネーター)
SMOで治験のコーディネートする担当者を言います。医学的判断を伴わない業務や治験に関わる事務的業務、チーム内の調整など治験に関わる業務全般のサポートを行います。

 

医療機器業界を取り巻く職業

医療機器業界も製薬業界と同様、人工心肺装置や人工透析装置など、人命に関わる業務です。そのため研究・開発は製薬会社とほぼ同様、研究・開発・製造と営業・フォローに大別できます。研究・開発・製造部門では製薬業界とほぼ同じと考えてよく、医療についての高度な知識と見聞が求められます。そのスタッフには、医師や薬剤師など医療従事者はもとより、機器という性格上、電気工学系の研究者も存在します。医療機器に特有の職業を紹介していきましょう。

 

●営業
病院やクリニック、健診センターなどの医療機関に赴き、医師、看護師、臨床検査技師などに自社の製品を導入してもらえるよう提案を行います。また医療機器の操作を手伝う場合もあります。

●アプリケーションスペシャリスト
主に臨床工学技士の資格を有する人で、営業支援の業務を行います。医療機関に営業とともに赴き、専門的な見地から機器の性能や効果を説明します。

●クリニカルスペシャリスト
主に看護師資格を有する人で、専門性の高い機器を導入する際に、経験を活かしてアドバイスを行います。

●サービスエンジニア
病院やクリニックを定期訪問し、自社製品の点検や修理など、アフターフォローを担当します。

 

いかがでしたでしょうか。現在、我が国は重大な局面を迎えています。超高齢化社会により少ない現役世代で多くの高齢者を支えなければならない世の中になっています。医療業界は、そんな世の中の流れにストレートに影響を受ける業界ですが、反対に考えれば、最もチャレンジングな職業・職種がありますし、みなさんの業界にかける熱い想いが、世の中を変えて行く可能性もあるのです。ぜひ、医療業界であなたの力を試してみませんか。

 

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SCIENCE SHIFT編集部

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