若手研究職がホンネで答える、“就活のリアル” アンケート調査!(記事版)
Contents
- 若手研究職の就活のリアル
- 出身学部
- 本エントリーをした企業数
- 面接を受けた企業数
- インターンシップ参加の有無
- 就活の相談をした相手は?
- 製薬業界以外の業界は受けた?
- 製薬業界以外で受けた業界(複数回答)
- 研究職以外の職種も受けた?
- 研究職以外で受けた職種(複数回答)
- 「大学での研究を活かせること」は重視した?
- 就活と研究の両立は大変?
- 研究との両立のためにどのような工夫をした?
- 学生の立場から、企業を見ていたポイントは?(複数回答)
- 最終的に入社を決めたポイントは?(複数回答)
- 実際に働いてみて、重要だと感じることに変化があった?
- 就活中に心に残っている出来事、エピソード
- 自分の就活はうまくいったと思う?
- 就活に後悔していることはある?
- もう一度就活できるとしたらやる?
- 就活していたころの自分に一つアドバイスができるとしたら?
- これから就活する人へ「これだけは気をつけるべき!」点は?
- おわりに
はじめに
本記事は、過去にサイエンスシフトで公開したeBook『若手研究職がホンネで答える、“就活のリアル” アンケート調査!』の記事版です。このアンケートは、研究職を志望している理系学生の皆さんの就職活動に役立ててもらうことを目的として行いました。
製薬企業に勤めている若手社員の生の声を聞いた貴重なアンケート結果を公開します。彼ら・彼女らには、研究職を志望して就活をしていた頃に考えていたことや、 就活を振り返って思うことなど、本音で答えてもらいました。
“自分自身”や“就活”と向き合うための一つのきっかけになれば幸いです。
(アンケート実施期間:2017年1月、対象:製薬企業の若手研究職(入社1~4年)59名)
若手研究職の就活のリアル
出身学部
このアンケートに回答した59名の若手研究職の内、約46%が薬学部、約54%が薬学部以外の学部出身でした。
製薬企業では、薬学部だけではなく、農学部、理工学部、工学部といった様々な学部出身者が研究職として活躍しているようです。
本エントリーをした企業数
アンケートの結果では、「30社以下」に本エントリーをしたと回答した人が約75%でした。
面接を受けた企業数
本エントリー30社以下という数値に対し、実際に面接を受けた企業数は「10社以下」と回答した人が全体の6割でした。
一般的に、文系学生よりも理系学生の方が、選考を受ける企業数が少ない、という傾向があるそうです。 大学で行なっている研究との両立を考えると、ある程度企業数を絞って就活を行なったという人が多いようです。
インターンシップ参加の有無
インターンシップには6 割以上の人が「参加しなかった」と回答しました。理系の学生においては、「研究で成果を出すこと」を一番の目標としている人も多く、明確な目的がなければ、就活が始まるまでは研究に集中したい、ということの表れかもしれません。
インターンシップへの参加は、「どんな目的を持って取り組むか?」と、自分なりに優先順位を考えて行動することが、就活全体を通して大切になるでしょう。
就活の相談をした相手は?
就活の相談相手として、最も多かった回答は「友人」(35.6%)、 次に先輩(33.9%) で、両方を合わせると約70% を占める結果となりました。
SCIENCE SHIFT で紹介している記事(就職活動中にあなたの助けとなってくれる人はいますか?他者からの支援の効果とは)でも、「 他者から支援を受けることの意味」について紹介していますが、自分の考えを誰かに話し、フィードバックをもらうという行動は、想像以上に気づきを得られることが多いものです。
就活という機会を活かして、いろいろな人に話を聞いてみるのも良いですね。
製薬業界以外の業界は受けた?
製薬業界以外の業界も「受けた」という人が約75%を占める結果となりました。業界に対して持っていたイメージが、実際に面接を受ける中で、変化していくこともあるかもしれません。初めから視野を狭める必要はないと思います。柔軟に考えながら就活をしていくのが良いかもしれませんね。
製薬業界以外で受けた業界(複数回答)
学部問わずに人気があったのは食品業界でした。薬学部出身者は、化粧品メーカーやCROを検討していた人も。薬学部以外の学部出身の人は、化学メーカーを受けている人が多い傾向が見られました。
日常にある身近な製品を製造しているメーカーなどを受けてみようと考える人が多いようです。
研究職以外の職種も受けた?
「絶対に研究職がいい!」という人もいるかもしれませんが、アンケートによると半数以上の人は他職種も受けていたようです。
研究職以外で受けた職種(複数回答)
薬学部出身の人は研究職以外に、開発、生産、MRなど、製薬業界を軸とした別職種を検討していた人が多く見られました。一方で、薬学部以外の出身者の志望職種は多岐に渡ります。
初めての就活。何がしたいのか、何ができるのか、自分がどんな仕事をしたいのかわからなくても当然のことです。様々な企業を受ける中で、就活の軸が見つかることもあります。興味のある業界や職種は時間を作って、実際に話しを聞いてみることも大切です。
「大学での研究を活かせること」は重視した?
興味のある業界や職種を受けてみる、という場合には、あまり学生時代の研究内容にとらわれすぎる必要はないかもしれません。アンケートでは、大学での研究を活かせることを「重視しなかった」という人が、「重視した」人を若干上回っていました。
就活と研究の両立は大変?
大変だったと回答した人が八割を占める結果になりました。
研究との両立のためにどのような工夫をした?
<自由回答>
●「どちらも大事。スケジューリングでなんとかする」タイプ
- 朝:研究室、昼:就活、夜:研究室、のサイクルで両立した。
- 六年制薬学部出身で病院実習も重なったことから、毎日のスケジュールを分単位で管理。電車の移動中にはPCを持ち込み、研修レポートや研究データ解析、エントリーシートの作成を行なっていた。
●「どちらかというと、就活優先」タイプ
- 研究する時間を少し減らし、その時間を就活に使った。
●「基本は研究を大切にした上で、就活を工夫」タイプ
- エントリーする会社を絞った。
- 研究の隙間時間で面接対策を行なった。
- 面接があるときはオーバーナイトで実験を仕掛ける、または先輩・後輩の手を借りた。
回答結果を見ると、大きく3つのタイプに分かれるように感じられました。 自分に合ったやり方で、研究も就活も、納得のいく結果を出したいですね。
学生の立場から、企業を見ていたポイントは?(複数回答)
最終的に入社を決めたポイントは?(複数回答)
11.学生の立場から企業を見ていたポイント、12.最終的に入社を決めたポイントを比較してみました。就職先に求めるものとして、就活をはじめたとき、行っている最中は「企業イメージ、ブランド」「給与、待遇」「面接の雰囲気(社員)」が高いポイントを得ています。一方、入社を決めたポイントでは「面接の雰囲気(社員)」が他の項目に大差をつけて重視されており、入社後の自分をイメージしているのだと推察されます。
実際に働いてみて、重要だと感じることに変化があった?
選考を受ける以前は、どうしても「企業イメージ、ブランド」「給与、待遇」など、外面的なことに目が向きがちです。しかし、実際に選考を進めていく中で、最終的には「面接の雰囲気」=一緒に働く人で決める人が多いようです。
就職した後にも「職場の雰囲気」や「人間関係」が大事だと思うようになった人が多かったことからも、最終的に入社を決めるポイントとして、“人” で選ぶというのは一つのポイントなのかもしれません。
就活中に心に残っている出来事、エピソード
<自由回答>
●人・出会い
- 様々な業界や企業のヒトに助けていただき、今現在でも役立っている人脈ができたこと。(そのときの恩返しということでもないですが、現在、社外で就活生のキャリア支援、高校生・大学生向け講演会のスピーカーをやっている。)
- 就活中に友達ができた。
- 面接時に、人事の態度が高圧的な企業には嫌気がさした。そういう社風なのだろうと面接の時に思ってしまったので、面接の雰囲気がとても大事だと感じたことが心に残っている。
- 面接官だった研究職の方と、面接で研究内容について議論した際に良いアイデアが浮かび、すぐに大学で検討したところ非常に有用な発見があったこと。「就活」と割り切るのでなく、常に好奇心を持って挑んだ方が良いと思った。
●やってしまったエピソード
- 10年間筋トレをしていると嘘をついてしまったこと。(嘘はバレる…)
- ウェブテストの締め切りを間違え、期限を過ぎてしまったが対応して貰えた。(極めて稀なケース、と思ってほしい)
●”就職はご縁である”と実感
- 内定をもらった会社に、お断りの電話をしたときは心苦しかった。
- 他社の最終面接に落ちた日が、入社を決めた企業の二次面接日だった。
就活は、自分の将来と向き合う大切なもの。深く自分のことや将来のことを考えることができる、またとない時期です。周囲の支えに感謝することができたり、新しい出会いや貴重な体験ができたりすることもあります。
「就職先を決めること」だけではなく、様々な学びを得られる機会として、ぜひ前向きに向き合いたいですね。
焦って「内定を取ること」に意識がいきがちになってしまうかもしれませんが、肩の力を抜いて、楽しむ余裕を持つことも大切といえるでしょう。
自分の就活はうまくいったと思う?
就活に後悔していることはある?
就活自体は「上手くいった」と回答している人が75%以上となりました。一方で、後悔していることが少しでも「ある」と答えた人も、半数を超えていることも事実です。
就活の中で、失敗や挫折を経験するからこそ、最終的には満足でき、「上手くいった」と答えることができるのかもしれませんね。
もう一度就活できるとしたらやる?
やはり「就活は一度で良い」と感じている人が多いようです。満足のいく就活ができた
からこそ、そう思えるのかもしれません。就活中だからこそ出会える人や、聞くことができる話もあるので、人生に一度である「新卒就活」を楽しんでいただければと思います。
就活していたころの自分に一つアドバイスができるとしたら?
<自由回答>
- 時間を掛けて納得するまでやる。
- 最終決定は自分だということ。
- 自分にもっと自信を持つこと。
- 仕事以外のことも色々考え、多くの方に相談すべきだった。
- 自分の出身大学などにコンプレックスを抱かずに、上を目指すべき。
- 何事も早めに手を付ける。教授・友人に相談する。
- 本をたくさん読みましょう。( 政治・経済・自己啓発など )
- 企業研究を十分にするべき。
- 説明会や面接でわかることだけが会社のすべてではない。実際に働いている人の話や事業データから得られる情報も参考にすべき。
- 政治、経済など、研究以外の話題の引き出しを多くしていたら、もう少し面接に受かっていたかもしれない。
- 緊張し過ぎないように。人生なるようになります。
- こだわりを持つことよりも、自分にできることや視野を広げることを楽しみながら就職活動すると良いかなと思います。
- 使えるもの(就活相談窓口、友人、後輩) は何でも使うべき・色々な業界にも視野を広げて、就活を楽しむこと。
- 研究内容を語るよりも、どう工夫して取り組んだかを重視して語りなさい!
- なんとかなるから大丈夫。
- 本当に入りたいという気持ちを大切にしてください。
- 自分を信じてやり抜こう。
これから就活する人へ「これだけは気をつけるべき!」点は?
<自由回答>
- 研究内容に関しては非常に幅広く聞かれるので、 専門とは関係ない人も含め色々な人に研究紹介をして、 質問対策を練ることをおすすめします。
- 複数人の意見を聞く、就活参考本に頼らず自分の言葉で伝える。
- 人を見ながら、先輩から様々な話をきく。
- 自信と希望を持って就活に臨むこと。
- 基本給だけに騙されないように!
- 思い詰めないこと。
- 給与・待遇だけにこだわらないことが良いかと思います。
- イメージで勝手に無理と決めつけず、興味があればエントリーしてみると良いと思う。
- 採用通知がきて、即決で返事できないような企業はやめておいた方がいいと思います。
- 不採用のメールをもらうこともあるかと思いますが、いちいち落ち込まない方がうまくいきます。
- 体調管理と、あきらめない気持ち。
- 自分が本当に重視していることは何かをよく考えること。給与面など、聞きにくいことでも聞いたほうが良い。
- 身だしなみに注意。
おわりに
就活中は、ついつい友人や周りの様子、世間からの評価などが気になってしまいがちですが、最終的に大切なのは、自分が納得できるかどうか。納得のいくまでとことんやりきることが、後悔のない就活にするための一つのポイントのようです。
新卒の就活は、様々な業界や職種に挑戦できる数少ない貴重なチャンスです。
これと決めつけず、気になる業界や企業があれば、積極的に説明会などに足を運んでみても良いかもしれません。
上手くいったと答えている先輩の中にも、全く後悔がないと回答している人は少数です。
ベストを尽せるようにしっかり準備をすること、準備をしたならば面接では自信を持つことが大事です。
そして重要なのは、“入社してからどう働くか”ということ。就活で内定をもらうことがゴールではないことを忘れないようにしたいですね。
先輩からのアドバイスで意外と多かったものは「思い詰めないこと」と「なるようになる!」。是非とも「自分を信じて」がんばってほしいと思います。
本記事は、eBookにてまとめています。ダウンロードして、就活のお守りにしてみてはいかがでしょうか。
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