就活のキホンは「スケジュール管理」と「自己分析」から。後悔しない就活のコツ Vol.1
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皆さんこんにちは。私はキャリアカウンセラーとして、日々さまざまな学生の皆さんと会い、就職活動の相談にのっています。 その数ざっと延べ500人以上。今回のシリーズでは、この経験をフル活用して少しでも多くの生の声、そして私が感じてきたことなどをお伝えし、皆さんの“就活”に役立てていただけたらと思っています。就活に「こうすれば絶対成功する」という王道はありません。なぜなら、一人ひとりの背景も違えば、イメージしている将来も違うからです。
初めてのことだらけ、分からないことだらけで不安や悩みも多いでしょう。そんなときの参考になるような情報や解決のヒント、そしてアドバイスをお届けしたいと思っています。
今回は、就職活動におけるスケジュールの把握方法、自己分析との向き合い方について見ていきましょう。
採用活動の具体的な流れを把握しよう
広報解禁までに企業をある程度リストアップ
いよいよ2018年度の新卒採用の活動スケジュールが発表され、2017年度と同じく「3月1日広報解禁、6月1日選考解禁」となりました。ようやくスケジュールも確定……ホッとすると同時に、皆さんには急に不安が押し寄せてくるようです。
「何をすればいいか分かりません」
「何から始めればいいのですか?」
「授業や実習とどう両立するの?」
「そもそも就活って何ですか?」
このような漠然とした疑問や不安をなくしていくためには、就活の流れを自分なりに具体化していくことが大切です。「広報解禁」とは、企業が採用に関する具体的な情報をオープンにして良いということ。つまり3月1日から、企業がそれぞれ応募要項や選考フロー、日程などを発表しプレエントリーの受付けを開始します。できればこの日までに、自分が希望する企業をある程度リストアップしておきたいもの。そして「選考解禁」になると、直接合否に関する選考(面接など)が各企業で開始されます。
※経団連*に加盟していない企業や外資系の企業は、この限りではありません。
*経団連:一般社団法人日本経済団体連合会のこと。日本国の代表的な企業1,340社、製造業やサービス業などの主要な業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体などから構成され(いずれも2016年6月2日現在)、経済界が直面する重要課題に対して意見を取りまとめることで、経済の自立的な発展を促す目的をもっている。
自己分析や筆記対策は冬休みが終わるまでに
そもそも就職活動は、自分がどんな仕事をしたいのか、どんな企業で働きたいのか、もっというと自分はなぜ働くのか、などといったことを考えないと始まりません。つまり「自分について考える=自己分析」がどうしても必要です。
そして、じっくり自分と向き合う時間が取れるのは、冬休みくらいまでと思ってください。というのも、1月下旬から学校の試験、2月になると業界研究という名の企業説明会やインターンシップなど、解禁に向けた企業の動きが活発になり、そちらに時間を取られることになるからです。
できれば年内いっぱいまでに自己分析を一通りおこない、「自分の強みや特徴(自己PR)」「学生時代に頑張ったこと」など、一度しっかり文章にしてみましょう。
それともうひとつ、筆記対策も忘れずに。苦手だからと言ってそのままにせず、少しずつ進めていきましょう。まずは市販本やネットなどで過去の問題を一通りすべてやってみて、苦手分野を把握します。その後は、苦手分野を中心にコツコツ繰り返していけば、全体的に点数はアップすることでしょう。
テスト明け以降は具体的な行動を
2月以降は、いよいよ就活も現実的になってきます。合同説明会やイベントに参加したり、OBOG訪問をおこなったり。あるいはインターンシップに参加するなど、具体的な行動を通して業界研究・企業研究を深めていきましょう。
企業や社会人との接点が増えますので、その際に必要な身だしなみやマナーについても事前に心得ておきたいもの。日々の態度や言葉遣いが出てしまうので、今から意識して過ごしてください。特に言葉遣いはなかなか直らない……学生たちを見てつくづく思うことです。
そして3月1日以降は、応募する企業のスケジュールにあわせて動くことになります。2017年度は5月の連休明けくらいにエントリーシートを締め切る企業が多く、それまでに一次〆切、二次〆切……と何回か締め切りが設けられていました。志望度の高い企業のエントリーシートに時間をかけるためにも、優先順位をつけて取り組んでほしいところ。そのためには、自分を掘り下げ、就きたい仕事の方向性を2月中に決めておくと良いでしょう。
以上が採用活動の大まかな流れと、そのためにやっておきたいことです。このほかに、皆さん自身のやるべきこと(ゼミ活動・実習・実験・アルバイト・課外活動)を洗い出し、自分なりのスケジュールを組んでみてください。あくまでも現時点で、ということでOKです。スケジュールはその都度、変更・調整していけば良いのですから!
自己分析の本質を理解しよう
自己分析の落とし穴
続いては、就活のはじめの一歩となる「自己分析」について考えてみましょう。現場では、以下のような相談が学生から多く寄せられます。
「自己分析ってどうすればいいのですか?」
「書くことが特にありません」
「どこまでやればいいのですか?」
特に「たいしたことをやっていないので書くことがない」という相談は非常に多いです。どうも学生の皆さんは、自己分析とは「スゴイことをした経験を探すこと」「企業にウケる話題を探すこと」と思っているようです。
例えば、スポーツや勉強で賞を取ったり、全国1位などの成績を残したり。他の人とは一味違った経験を探さないといけないと考えていたり、あるいは「私はこんな人間である」と哲学者や評論家のように、自分を決めなければならないと思っていたりする人も多くいます。
そもそも、自己分析とは何のためにするのでしょうか?前の項目でも触れましたが、目的は自分の将来の方向性を見つけること、そしてそれを企業に伝えていくことです。決してスゴイ経験を探すことが目的ではないのです。もちろん、スゴイ経験のある人はそれもひとつの材料になると思いますが、絶対ではありません。まずは、そうした自己分析に対する思い込みを早めに改めましょう。
企業が知りたいのは「あなた自身のこと」
企業が知りたいのは、「スゴイこと」ではなく「皆さん自身のこと」です。なぜウチの会社で働きたいと思うのか、そう考える理由を知りたいと考えています。
皆さんはどんな考えや価値観を持っているのか、それに基づいてどんな行動をとるのか。どんな性格や人柄なのか。つまり企業の人たちは、皆さんの内面について知りたい、その裏付けとなる経験(エピソード)を知りたいと思っています。
例えば、「第一志望の大学に落ちて挫折を感じたが、入学後は勉強を頑張った」というエピソードがあるとします(実際によくあるエピソードです)。この文章からは「頑張る人なんだな」ということは分かりますが、同じシチュエーションにいた人なら少なからず誰もが思うことですので、具体性には欠けるでしょう。
「なぜ挫折を感じたのか?」
「なぜ、大学で勉強を頑張ろうと思ったのか?」
そう聞かれたら皆さんはどう答えますか?きっと、それぞれの思いや考えが浮かぶと思います。その部分が皆さん自身の内面であり、「あなたらしさ」につながるのです。
「行動+内面」をセットで考える
自己分析のやりかたは、ネット情報や市販本の活用、キャリアセンターの利用など、いろいろあります。まずは、取り組みやすいものからトライしてみましょう。そして、多くのエピソードから「自分らしいな」と思うことをいくつか選び、行動面だけでなくその時に何を考えたか、どう思ったか、という自分の内面についても思い起こしてみてください。
学生の皆さんは「あれをしました」「これをしました」という行動はとてもよく書けるのですが、活動報告書のようになってしまい「その人らしさ」が浮かび上がってこないのです。なぜその行動をとったのか、そのときに何を考えていたのか――。そこにあなたらしさが滲み出てくるということを心に留めて、これまでの自分を振り返り「経験の棚卸(たなおろし)」をしてみてください。
そして、どのような内容であれ自分の言葉で書くようにしましょう。企業の採用担当の方から「学生さんは、皆さん同じことを言うのでとても残念でもったいない」という話をよく聞きます。自分の経験は自分だけのもの。自信を持って自分の言葉で書いてみてください。
「その先」まで考えて初めて自己分析となる
自己分析のもうひとつのポイントは、過去を振り返るだけでなく未来につなげて考えてみる、ということです。企業は皆さんの「将来」に期待をしています。どんな活躍をしてくれるだろう?どんなキャリアを積んでいくのだろう?皆さんの話を聞きながら将来を想像して採用を決めるのです。
どうしても学生の皆さんは、視点が過去にばかり向かいがち。ぜひ、「過去の経験を活かして将来はこうしていきたい」「これまで培ってきた自分の○○という強みを生かして、こんな仕事をしていきたい」など、過去を振り返ることで見えた自分の特徴や強みを、将来に向けて考えてみてください。そうすることで、何となくでも自分のやりたいことや進みたい方面が見えてくるのではないでしょうか。
おわりに
いかがでしたか?少しは具体的なイメージがつかめましたでしょうか。曖昧だった“就活”というものが、自分のこととして考えられるようになったならしめたもの。まずはとにかく動き出しましょう。
就活に「正解」も「間違い」もありません。後悔せず納得いく就活をした先輩の多くは、自分で考え自分で決め、自分で動いていました。納得するか後悔するかは皆さん次第。あくまでも就活という舞台の主人公は、皆さん自身であることを忘れないでくださいね。