ノンストレスで就活を乗り切る!宇宙飛行士が実践する「感情のマネジメント」とは
就職活動まっただ中の学生たち。
今年度のエントリー状況は、昨年度よりもエントリー社数が1.3社多い平均26.3社という調査結果も出ており¹、皆、精力的に挑んでいる様子がうかがえます。
1 キャリタス就活2018学生モニター(2018年3月に卒業予定の大学3年生<理系は大学院修士課程1年生含む>、回答者数 : 1,423人、調査期間 : 2017年3月1日~6日)
4月下旬のこれからは、ちょうど、エントリーシートの締めきりが続くタイミング。同調査でも、「エントリーシートを書くのはインターンシップでも経験したが、いつまで経っても慣れない」といった理系男子の声が紹介されるなど、エントリーシートの提出には、それなりの苦労がありそうですね。
たたみかけるように締め切りが迫ってくるので、しっかりと準備をしておかなければ、納得のいくものを出せなかった、応募が間に合わなかった、という事態にもなりかねません。
スケジュールやタスク管理をきちんとすることで、余計なストレスが発生しないように工夫ができるといいですね。効率的な時間の使い方やタスク管理については、堀正岳さんの記事もぜひ参考にしてみてください。
石川善樹著 『疲れない脳をつくる生活習慣』━━意思決定量のリミットとは
エントリーシートなど、目の前の締め切りばかりに振り回されてしまうと、気づかぬうちにストレスが溜まり、ベストな状態で選考に望めなくなってしまいそうですよね。
さて、今回は、そんな就活中の皆さんにオススメの本を紹介します。業界研究に、エントリーシートにと忙しく、本を読んでいる暇なんてない、という声も聞こえてきそうですが、そんな時こそ少し肩の力を抜いて、別のことに頭を使ってみるのもオススメです。
人間には1日に使える“意思決定”の量が決まっていると、20世紀の心理学者たちは解明しています。朝起きて何を食べよう、何を着ていこうから始まり、就活生としては、どの企業にエントリーしよう、志望動機・学生時代の活動・自己PRはこれにしよう……など、特に意思決定の多い時期を過ごしているといえるでしょう。
そんな限りある意思決定の量が、リミットを超えてしまうとどうなるのでしょう。理性よりも欲望が勝ってしまい、「余計な買い物をしたり、暴飲暴食をしたり、あるいはイライラして相手につらくあたったりする」と、予防医学研究者の石川善樹さんは自著『疲れない脳をつくる生活習慣』の中で指摘しています。
【書籍紹介】
疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座(プレジデント社)
著者:石川善樹
調査の設計から、文献・資料の扱い方、聞き取りの方法、データの整理、発表や執筆まで、練習問題を交えながら、調査を意義あるものにする手順とコツを詳しく解説している。学生の論文執筆や小中高の探求学習にも活用できる入門書。
最近では、瞑想の時間をつくることで脳の疲れを癒す、「マインドフルネス」が流行になっていますが、同書の中ではその少し具体的な方法として、NASAが実践したという、興味深いエピソードが紹介されています。
NASAも着目した、「感情のマネジメント」に有効な方法とは?
NASAは宇宙飛行士のパフォーマンスを向上させるために、ある研究を行ったのです。
宇宙飛行士は、心身共に鍛えられた超一流の人たちが集う職業ではありますが、実際には、宇宙船のなかで、緊張感のある任務を他のメンバーと一緒に遂行しなければなりません。当然ながら、集中力、想像力、共感力などが優れたメンバーが選出されています。
それでも、起きてしまうのが「けんか」。
「以前、ロシアの宇宙船でこんなことが起きました。宇宙船の中で、宇宙飛行士は互いに採血をすることになっていました。そのとき、ある飛行士が別の飛行士を嫌っていたので、いつもより強く採血の針をさしてしまったのです。その結果、あわや殺し合いになるのではないかというぐらいの大げんかになってしまいました」(同書より)
なんと、鍛えられた宇宙飛行士であっても、船内のストレスからけんかを起こしてしまうのです。これは大きな問題です。
そこでNASAが目をつけたのが、「感情のマネジメント」。もちろん、宇宙飛行士同士のマッチングも大切ですが、そもそもイライラさせないための有効手段はないかと研究したのです。NASAが出した結論は、「血糖値」でした。この血糖値を一定にコントロールすることで、イライラしないようマネジメントするのです。
この血糖値コントロールはテニス界の王者ともいえるジョコビッチが採用しているのは有名な話。また、P&Gという会社でも、コーポレート・アスリートという研修プログラムのなかで、1日を通して血糖値を一定にコントロールすることを、「社会人の身だしなみ」と位置づけているようです。
就活生にとっては、これから選考の結果が出始め、大きく感情が揺れ動く時期を過ごすことになります。この時期に、「感情のマネジメント」ができるか否かで、その後に続く選考にも影響があるのではないでしょうか。
血糖値を一定にコントロールするために必要なこと
感情のマネジメントをするために有効な、「血糖値のコントロール」とは一体どういうものでしょう。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量のこと。食事のなかで炭水化物をとると、分解されてブドウ糖になります。このブドウ糖が小腸で吸収されて、血液によって体中に運ばれるのですが、なかでも、この血糖値を必要としているのが脳なのです。
石川さんは、「血糖値のコントロールが仕事のパフォーマンスを維持するうえでも決定的に重要」と指摘します。
では、具体的には何に注意が必要なのでしょうか。やみくもに炭水化物を摂れば良いという話ではありません。同書では、「どれだけ欠食しているか」「どんな炭水化物を摂取しているか」がポイントと述べられています。
欠食、つまり、食事を抜くことなのですが、朝食を取らずに空腹のままいきなり昼食となった場合は、血糖値が急上昇してしまいます。夕食の1回のみなら尚更です。朝昼晩ときちんと摂取することで、一定の数値で推移することができます。ただ、3食をきちんと摂るだけでは合格とならないよう。不規則な生活になりがちな、大学生の皆さんにとっては耳の痛い話ではないでしょうか。
「わたしの場合、間食も含めて、3~4時間ごとに食べ物を摂取すると、血糖値が一定になっていると感じます。もちろん、人それぞれ違うので一概にはいえませんが、脳の疲れを防ぐために、食事の間隔をあまり空けすぎないことを心がけてみてはいかがでしょうか?」(同書より)
忙しいということを理由に、食事を摂らない学生もいるかと思いますが、ここはきっちり(間食も含め)食事を意識してみてみましょう。あのNASAが導入する血糖値のコントロール。慣れない就職活動に挑む学生にとっても、取り入れてみるといいかもしれませんね。
摂取すべき炭水化物についても注意があります。炭水化物の中に含まれる糖質、糖類。「糖質」は、炭水化物のなかで食物繊維を除いたもの。そして、糖質のなかで単糖類、二糖類といった吸収されやすい糖を「糖類」と言います。現代人は、この糖質・糖類を摂取する機会が非常に多いので要注意。これらが多く含まれる食べ物は、炭水化物のなかでも血糖値を急速にあげやすく、吸収もされやすいので、反対に時間がたつと血糖値が急激に下がることも。「血糖値の変動が大きくなる」といったデメリットがあるんですね。
いかがでしたでしょうか。就職活動はどうしても慌ただしくなりがち。時には大きなストレスを感じることもあるでしょう。そんな時こそ、きちんとした食事をとり、安定した血糖値を維持。「感情のマネジメント」を習得して、この大変な就職活動を乗り切りましょう。