スキルを磨く

2021/01/20

久世浩司さんによる挫折がテーマの連載、今回は第三回です。今回は自分の「強み」を知るための手法について教えていただきました。

久世浩司さんのレジリエンス入門連載はこちらから
▼辛い挫折・失敗に向き合って立ち直る、科学的な方法を知る【第一回】
▼辛い挫折・失敗に向き合って立ち直る、科学的な方法を知る【第二回】

 

 

仕事でやりがいを感じられない人の特徴

皆さんは、いつもやる気と活気を感じながら仕事に取り組んでいますか?仕事に「やりがい」や充実感を感じているでしょうか。
もし仕事でやりがいやモチベーションを感じられない人は、失敗や辛い体験をすると、心が折れそうになるかもしれません。

仕事でやる気を感じられない人には、共通する特徴があります。
それは、自分の「強み」を活かしていないことです。

強みを仕事で活用することは大切です。自分の強みをフル活用できる仕事に就いている人は、自信があり、イキイキとエネルギーに満ちた状態で過ごし、自分らしさを発揮することができます。研究でも、日常の仕事で自分の強みに集中する機会のある人は、仕事の意欲が6倍も高くなる傾向があることがわかっています。

また、強みは仕事のストレスや困難に直面したときにも必要となります。強みを利用できる人は、レジリエンスが高いので、ストレスがあるような難しい仕事でもやり抜くことが可能です。挫折に強い心の持ち主は、自分の強みを理解し、それを活かしているのです。

しかし、私たちの多くは、自分の強みについて理解できていません。これを「強みの盲目」と言います。自分の足りない点や短所についてはよくわかっているのですが、強みや長所については知りません。あるいは自分の強みを、誰にでもあるありふれたものと感じて、他の人より優れた特徴であることに気づいていないのです。これではせっかくの強みが宝の持ち腐れとなってしまいます。

 

自分の強みとは?

心理学の研究によると、どんな人にでも強みがあることがわかっています。ただ、その強みは人それぞれです。そこで、種類別に分類する大規模な調査が先進国をはじめ、世界中の人種を対象に行われました。
その結果、24種類の強みに分類されることがわかりました。(研究ではまず6つの美徳が見出され、それぞれの美徳を発揮するための24種類の強みとしての特性が抽出されました)

自分の「強み」を見つけて活用することも、レジリエンスを強化するためにとても有効です。「強み」には自分の可能性を増す力が秘められているからです。

 

強みを使うことのメリット

 心理学では、ストレングス研究、つまり人の強みについて数々の研究が行われ、次のことが分かっています。

  • 自分の強みを生かしている人は、仕事の能力や充実度、目標達成度が高い。
  • 自分の強みを活用することで、自尊心が高まる。
  • 強みを重視する上司は部下の働く意欲を格段に引き出す。
  • 強みを生かすと活力が生まれ、ストレスを感じなくなり、落ち込んだ時の回復も早い。

私がお会いしたトップクラスのビジネスパーソンも、自分の強みをよく理解し、強みを伸ばすことに努力し、それを生かす仕事や役割を見つけることに非常に熱心です。

しかし、研修などの参加者に「あなたの強みを挙げてください」と尋ねても、答えられる人はあまりいません。他人の長所や短所はよく目に入るのに、自分の強みについてはじっくり考えたことがないようです。

 

自分の強みを知る方法

では、どうすれば自分だけの強みを知ることができるのでしょうか。それには3つの方法があります。

1つめが「自分自身に質問をする」ことです。
質問項目は次の5つです。自分で気づくことが重要なので、即答する必要はありません。

  • 今までで最も「うまくいった」と思うことは何か?
  • 自分に関して、最も好きな点は何か?
  • 何をしているときに最も楽しいと感じるか?
  • どんなときに自分らしいと感じるか?
  • 自分がベストと感じるのはどんなときか?

2つ目が、自分の周りの人に聞くことです。
自分が仕事で好調なとき、実力を思う存分発揮しているとき、期待を上回る結果を出しているとき、どんな特徴や傾向があり、どんな強みを活かしているかを聞いてみるのです。
私たちは自分の『強み盲目』であると説明しました。しかし、自分では気づいていない強みは、他人の目を通すことで理解することができます。

3つ目が、強みの診断ツールを利用することです。
私のオススメは、アメリカのVIA研究所が提供する無料診断ツールです。オンラインの質問票に答えると、24種類に分類された「人格としての強み」が順位付けに並んだレポートが表示されます。そのうち、上位5つが自分を特徴づける強みなのです。

強みの診断ツール 使用方法

  1. 下記のURLをクリックすると、対象サイトに移動します。
    http://www.positivepsych.jp/via.html
  2. 右上の言語を「日本語」に変更してください。
  3. 氏名をアルファベットで、メールアドレス、パスワード(五文字以上)を記入し、性別、生年月日を選択して、「Register」(登録)ボタンを押して下さい。
  4. 「VIA・徳性調査票(VIA-IS)」の「Take Survey」ボタンをクリックして始めて下さい。全ての質問に答えるまでに約20〜30分間かかります。
  5. 質問の最後に、お住まい(またはお勤め先)の郵便番号を記入し、国を選択してください。
  6. 「Complete Survey」(診断完了)ボタンを押すと、次の画面に移動します。「Download Character Strength Profile」のボタンを押すと、日本語で24種類の強みが上位順に表示された診断結果が表れます。上位5つが「自分を特徴づける強み」と考えられます。必要に応じて、印刷して保存してください。
注)Safariをお使いの方は日本語が表示されませんので、ChromeやFirefoxなどの別のOSをお使いください。

 

「強み」を活かすことで自己肯定感を高める

自分の強みを見出したら、次はその強みを仕事で活用する方法を考えましょう。
自分の強みを活かすことを「ストレングス・ユース」といいますが、これが大事なのは、強みの活用には「自己肯定感」を形成する効果があるからです。
自分を肯定し、自分の価値を認める自己肯定感をもつことによって、逆境下でも自分に対して前向きな評価を保ち、困難なときでも「自分は負けない」と感じる心の強さを得ることができます。

実は、私たち日本人はこの自己肯定感があまり高くありません。親や先生から褒められることが少ないこと(とくに思春期以降になると、急に子どもを褒めることが少なくなります)、そして他者からの評価を過剰に気にしすぎることが、その理由としてあげられます。

自己肯定感が低い人は、何かにチャレンジする場面で「自分には無理」と消極的になってあきらめてしまうのです。これは成功を求めるビジネスパーソンとしては致命的です。

とくに、海外の人と働く機会のある人には、高いレベルでの自己肯定感が求められます。アメリカ人や中国人、東南アジア人は、自己肯定感が高く教育されているようで、日本人と比べてかなり高い自己肯定感を持っているからです。

自己肯定感の形成には、人から賞賛されることが有効ですが、それは自分でコントロールすることはできません。また、他者から褒められることを意識しすぎると、自分を偽って周りから認められることを重視するようになってしまいます。

そこでストレングス・ユースをすること、つまり自分の強みを把握して仕事に活かすことを習慣化することが考えられます。
強みを活かしている人は、活力にあふれ、キラキラと輝いています。いまの仕事で自分の強みを活かすことができなければ、自己の強みをベースに職務をつくり変えることを推奨します。

 

弱みの克服に労力を割きすぎない

「強みを強化することが大切」と私が熱心に伝えると、「弱みを克服することのほうが先ではないか」と反論する人がたまにいます。
確かに弱点を克服できれば達成感を得られます。しかし、弱みの克服には多大な時間とエネルギーを要するにもかかわらず、成功する確率は決して高くはありません。弱点が強みへと変わることは稀で、精一杯努力しても平均レベルに達する程度ではないでしょうか。

弱みを無視する必要はありませんが、弱みにとらわれ、その改善に多くの時間や労力、お金を使うことはあまり合理的ではないと思います。ビジネスの現場は、「この分野ならこの人」といわれる人材を求めているのですから、強みを伸ばす努力をするほうが賢明です。

心が折れそうな困難な時こそ、今回の診断テストで発見した自分の強みを思い出して、いかにそれらの強みを活かして逆境を乗り切るかを創造的に考えてください。

強みは皆さんが持っている「武器」です。その武器を活用すれば、挫折することも防げます。この記事を読んでくださっている皆さんが自分の武器を「宝の持ち腐れ」にせずに、強みを活かし、辛い時期を乗り越えて自信も高められることを願っています。

※本記事の内容は筆者個人の知識と経験に基づくものであり、運営元の意見を代表するものではありません。
自己肯定感
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久世浩司

ポジティブ サイコロジー スクール代表。慶應義塾大学卒業後、P&Gに入社。在職中にレジリエンスについて学び、その後、社会人向けスクールを設立。主にレジリエンスを活用した企業人材の育成に従事する。レジリエンス研修は、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられた。主な著書に『「レジリエンス」の鍛え方』(実業之日本社)など多数。

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